特定技能制度とは、日本の深刻化する人手不足への対応として、生産性の向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野に限り、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れるために創設されました。
この制度の手続きは他の在留資格と比べて煩雑で、受け入れまでに多くのステップを踏む必要があります。
今回は、特定技能外国人を雇用する際に欠かせない支援計画の代行してくれる登録支援機関について、わかりやすく徹底解説します。

特定技能制度の全体像と1号特定技能外国人の基本
1号特定技能外国人に求められる支援計画とは?
特定技能にはスキルに応じて1号、2号の2種類があります。
1号を受け入れる際には、1号特定技能外国人支援計画の作成と実施が必要です。
これは、外国人が日本での仕事や生活を安定的、かつ円滑に行えるようにするためのサポートのもので、職場でのことだけでなく、役所の手続きや日常生活のマナー、困った時の相談窓口まで、多岐にわたる支援を行うことが法律で決められています。
受入れ機関(企業)が果たすべき役割と責任の重さ
外国人を雇用する企業(受入れ機関)は、この支援計画に基づいて適切にサポートを行う必要があります。
計画書は在留資格の申請時に提出する必要があり、もし内容に変更があった場合はその都度届け出なければなりません。
雇うだけでなく、その外国人が日本社会に馴染めるよう、企業が責任を持って伴走することが求められているのです。
登録支援機関の役割
登録支援機関とは何か?
登録支援機関とは、受入れ機関(企業)から委託を受けて、特定技能外国人への支援計画を代わりに実施する専門組織のことです。
出入国在留管理庁に登録された機関であり、法律に基づいた適切な支援を行うノウハウを持っています。
自社で支援体制を整えるのが難しい場合、この機関に業務を丸ごと任せることができるため、企業は本来の業務に集中することができます。
登録支援機関の登録は5年間有効で、更新しなければ効力を失います。
また、一度登録されても、不正を行ったり義務を怠ったりすれば登録が取り消されることもあります。
義務的支援10項目の具体的内訳
登録支援機関が代行してくれる支援には10項目あります。
| 支援項目 | 具体的な内容 |
| 事前ガイダンス | 雇用契約締結後、仕事内容・給与・入国手続きについて本人が理解できる言語で説明する。 |
| 出入国する際の送迎 | 空港への迎えや、帰国時の見送り(保安検査場まで同行)を行う。 |
| 住居確保・生活に必要な契約支援 | 賃貸物件の保証人、社宅提供、銀行口座開設、携帯電話・ライフライン(電気・ガス・水道)の契約サポートを行う。 |
| 生活オリエンテーション | 日本のルール・マナー、公共機関の使い方、災害時の避難方法などを教える。 |
| 公的手続等への同行 | 市役所での住民登録や、年金・税金の手続きに同行し、書類作成を手伝う。 |
| 日本語学習の機会の提供 | 日本語教室の案内や、学習教材の情報提供を行う。 |
| 相談・苦情への対応 | 職場や私生活の悩みを母国語で聞き、適切なアドバイスをする。 |
| 日本人との交流促進 | 地域の祭りや町内会の行事を紹介し、日本社会との接点を作る。 |
| 転職支援 | 会社都合で雇用を継続できなくなった場合、次の職場を探す手伝いをする。 |
| 定期的な面談・行政機関への通報 | 3か月に1回以上、本人と上司の双方と面談を行い、労働基準法などの違反がないか確認して行政機関へ報告する。 |
登録支援機関の欠格事由と要件
個人事業主であっても法人の役員であっても、以下の拒否事由(欠格事由)に該当しなければ登録は可能です。
法令遵守
登録を受けるためには、機関自体が適切であることが求められます。具体的には、以下の項目に当てはまる場合は登録できません。
刑罰の履歴:拘禁刑以上の刑に処せられた者、または出入国や労働に関する法律に違反して罰金刑を受けた者
不正行為の有無:申請の日から5年以内に、出入国や労働に関する法令で不正または著しく不当な行為を行った場合
暴力団関係:暴力団員が事業活動を支配している場合
過去の失踪者:過去1年間に、自らの責任で外国人の行方不明者を発生させていないこと
支援の実績要件
登録には、外国人を適切に支援できる体制があることを証明しなければなりません。具体的には、以下のいずれかに該当する必要があります。
① 受入れ・管理の実績:
過去5年間に、中長期在留者(就労可能な在留資格を持つ外国人)を適正に受け入れ、管理した実績があること。設立したばかりで、代表者本人が外国人であるだけのようなケース(自分一人だけ)は実績とは認められません。
② 相談業務の経験:
在留外国人からの法律、労働、社会保険の相談や、役所への書類作成などの相談を、幅広くこなしていることが求められます。弁護士、司法書士、行政書士、社会保険労務士などの専門家は、その知識があるため、相談の件数や幅に関わらず実績があるとみなされます。
③ 適切な体制の証明:①②に該当しない場合であっても、中長期在留者の適正な受入れ実績等がある機関と同程度に支援業務を適正に実施することができる者であり、かつ、これまで日本人労働者等を適正かつ適切に雇用してきた実績のある機関であって、責任をもって適切に支援を行うことが見込まれるものをいいます。
支援の中立性:受入れ企業との密接な関係に注意
支援の質を保つため、中立性が厳しくチェックされます。
例えば、受入れ企業の役員の配偶者や2親等内の親族は、その企業の支援責任者になることはできません。また、過去5年間にその受入れ企業の役職員だった人も、支援の公平性を欠く可能性があるため、支援責任者にはなれません。
誰が支援を行うのか?必要な人員体制と言語
登録支援機関には、責任者と担当者の配置、そして外国人とコミュニケーションを取るための言語能力が必須です。
支援責任者と支援担当者の役割と兼任ルール
各事務所に最低1名以上のスタッフ配置が必要です。
- 支援責任者:支援全体を統括管理するリーダーです。
- 支援担当者:実際に支援計画に沿って動く実務担当者です。
これらは兼任することも可能ですが、事務所ごとに所属している必要があります。また、法人の役員や職員であることが求められます。
言語の壁を突破する:外国人が十分に理解できる体制
支援は、外国人の母国語である必要はありませんが、内容を余すことなく理解できる言語で行う必要があります。
- 相談体制の確保:通訳人を職員として雇う必要はありませんが、必要な時に委託などで確保できる体制が必要です。
- 対応時間の目安:外国人の勤務形態に合わせ、週3日以上の平日と、休日1日以上の相談対応ができる体制が望ましいとされています。
定期的な面談を実施できる体制の構築
3か月に1回以上、特定技能外国人とその上司の双方と対面などで面談を行う体制を整えなければなりません。これは支援を適切に行っているかを確認するための法的義務です。
費用と期間の目安
登録手数料:新規と更新で金額が異なる
登録支援機関の登録は有料です。
- 新規登録:28,400円
- 登録更新:11,100円
登録支援機関の登録は5年間有効です。
申請から登録までの2か月という壁
審査期間はおおむね2か月とされています。
そのため、新たに支援業務を開始したい場合は、予定日の2か月前までには申請を済ませておく必要があります。書類に不備があればさらに時間がかかるため、余裕を持った準備が大切です。
5年ごとの更新:忘れると効力を失うリスク
登録の有効期間は5年間です。
有効期限が切れる前に更新申請を行う必要があり、満了日の6か月前から4か月前までの間に手続きをしなければなりません。この期間を過ぎてしまうと登録の効力が失われ、支援業務ができなくなるので注意してください。
登録後の届け出義務
変更があった時の随時届出
登録した情報(名称、住所、代表者、対応可能言語など)に変更があった場合、14日以内に届け出なければなりません。窓口への持参、郵送のほか、電子届出システムでの手続きも可能です。
1年に1度の実施状況報告:書類の備え付け
登録支援機関は、1年に1回、支援の実施状況を報告する義務があります。また、支援の記録に関する文書を作成し、雇用契約終了後も1年以上は保管しておかなければなりません。
支援業務の再委託は不可
最も注意すべきなのは、委託された支援をさらに他社に丸投げすること(再委託)の禁止です。
これに違反すると、登録の取り消し対象となります。
一度取り消されると、その後5年間は再登録ができません。
通訳を補助として使うのはOKですが、責任を持って自ら支援を行うことが大原則です。
登録支援機関の登録申請に必要な書類
登録支援機関の登録申請に必要な書類は以下の通りです。
これらの書類は、原本が必要なものは発行から3か月以内のものであり、すべて片面印刷で準備する必要があります。
登録支援機関 登録(更新)申請書類一覧
| 書類・項目名 | 内容・備考 |
| 手数料(収入印紙) | 申請には手数料が必要。収入印紙を貼付して提出する。 |
| 登録支援機関登録(更新)申請書 | 登録を受けるための基本となる申請書。 |
| 添付書類(法人の場合) | 登記事項証明書(登記簿)および定款の写し ※定款の目的に「特定技能外国人の支援を行う旨」の記載は必須要件ではない。 |
| 添付書類(個人事業主の場合) | 住民票の写し ※マイナンバー記載なし、本籍地記載ありの原本が必要。 |
| 添付書類(役員に関する書類) | 役員の住民票の写し ※支援業務に直接関与しない役員については、住民票に代えて「誓約書(参考様式第2-7号)」の提出も可能。 |
| 登録支援機関概要書 | 機関の事業内容や体制を説明するための書類(参考様式第2-2-1号)。 |
| 登録支援機関誓約書 | 欠格事由(禁錮以上の刑、労働法違反など)に該当しないことを誓約する書類(参考様式第2-1号)。 |
| 支援責任者の就任承諾書・誓約書・履歴書 | 支援業務を統括する支援責任者に関する書類。履歴書によりその人物の経歴を証明する。 |
| 支援担当者の就任承諾書・誓約書・履歴書 | 実際に支援を行う支援担当者に関する書類。 ※事務所ごとに1名以上の選任が必要(支援責任者が兼任することも可能)。 |
| 支援委託手数料に係る説明書(予定費用) | 受入れ企業から受け取る予定の手数料の額とその内訳を記載。 ※支援に要する費用は、外国人に直接・間接を問わず負担させてはいけない。 |
| 実績要件を証明する書類 | 状況に合わせて、以下のA〜Dのいずれか1つを提出する。 ・A:中長期在留者(外国人)の受入れ・管理実績(過去5年以内に1名以上の実績) ・B:弁護士、行政書士、社会保険労務士などの専門職である証明 ・C:生活相談業務の実績(住居確保や生活オリエンテーションなどの実績) ・D:日本人労働者の雇用実績など(新設法人の場合、日本人を適正に雇用してきた実績や、担当者の経験・資格等で個別に判断される) |
| 返信用封筒 | 結果通知を受け取るための封筒。 |
行政書士に依頼するメリット
登録支援機関の登録申請や在留資格申請は、専門知識が求められる分野です。
行政書士に依頼する主なメリットを紹介します。
複雑な書類作成・手続きを一任できる
登録申請には、登録支援機関概要書や誓約書、実績要件を証明する書類など、多岐にわたる書類の準備が必要です。行政書士は入管業務の専門家として、これらの書類作成や地方出入国在留管理局への提出を代行できるため、担当者の負担を大きく軽減できます。
不備による審査遅延・不許可のリスクを減らせる
審査期間はおおむね2か月とされていますが、書類に不備があるとさらに時間がかかったり、最悪の場合は不許可となることもあります。行政書士は法令や運用要領を踏まえて申請書類をチェックできるため、不備による差し戻しや遅延のリスクを抑えられます。
支援計画の内容を実務に即して設計できる
義務的支援10項目をはじめとする支援計画は、単に書類上整えるだけでなく、実際の運用に耐える内容である必要があります。行政書士は、これまでの案件で培った知見をもとに、自社の実情に合った実行可能な支援計画の設計をサポートできます。
更新・変更届出など継続的な手続きも安心
登録支援機関の登録は5年ごとの更新が必要なほか、名称や所在地などに変更があった場合は14日以内の届出、年1回の実施状況の届出など、継続的な事務対応が求められます。行政書士に継続的に依頼することで、届出漏れによる登録取消しなどのリスクを防ぎ、本業に専念する時間を確保できます。
最新の法改正・運用変更に対応できる
特定技能制度に関する規定や運用要領は改正されることがあります。行政書士は日頃から最新の法令情報や運用の変更を把握しているため、自社だけで情報収集するよりも、常に適切な対応を取りやすくなります。
おわりに
特定技能制度は、正しく活用すれば企業の人手不足を解消し、新たな活力を生み出す素晴らしい仕組みです。しかし、その裏側には複雑な法律と、外国人の人生を守るための重い責任があります。
まずは何から始めればいいかわからない、自社にぴったりの登録支援機関を紹介してほしいという方は、ぜひ一度お問い合わせください。状況に合わせた最適なプランをご提案し、外国人採用の第一歩を全力でサポートいたします。

ℳ/大阪の行政書士補助者
2023年行政書士試験合格
大阪市内事務所に勤務している行政書士補助者です。
取扱業務:在留資格、古物商、宅建業、会社設立
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