在留外国人が引っ越しをしたとき、転職したときなど、自身の情報の変更があった際は出入国在留管理庁への「届出」が義務付けられています。
これらの届出を忘れてしまうと、罰則の対象になったり、次の在留期間申請で不利になったりすることがあります。
この記事では、入管法(出入国管理及び難民認定法)に基づく届出制度について、解説します。

中長期在留者の届出制度とは?基本を理解しよう
「中長期在留者」とは誰のことか
「中長期在留者」とは、在留カードの交付を受けて日本に中長期的に滞在している外国人のことです。留学、就労、家族滞在、永住者など、多くの在留資格がこれに該当します。
観光などで日本に来ている短期滞在の方などは在留資格の方は対象外です。
在留カードを持っている方は、氏名や住所などの基本情報を国が正確に把握できるよう、生活状況に変化があったときに自分から知らせる責任を負っています。
届出を怠るとどうなるのか
ほとんどの届出は「14日以内」に提出期限が設けられています。
この期限を過ぎた場合でも、届出自体ができなくなるわけではありません。
ただし、期限を大きく超えて届け出る場合は、遅れた理由を記載した書類の提出を求められることがあります。
届出をしないまま放置したり、虚偽の内容を届け出たりした場合には、罰則の対象となる可能性があります。
また、在留期間の更新・変更を申請する際、永住を希望する際に届出義務を適正に履行しなかった場合は審査に影響することがあります。
実際に届出の提出期限を遅れたため不許可になった例があります。必ず期限内に提出を行ってください。
届出の3つの方法
届出の方法は、内容によって多少異なりますが、基本的には次の3パターンから選べます。
①インターネット(電子届出システム)
24時間365日、自宅からオンラインで手続きが可能です。処理状況の確認もできるため、多くの届出でもっとも便利な方法とされています。
②窓口
持参最寄りの地方出入国在留管理官署や、住居地の市区町村窓口(住居地届出の場合)に直接出向いて提出する方法です。
③郵送
届出書に必要書類のコピーを同封し、指定の宛先へ送付する方法です。封筒の表には赤字で「届出書在中」などと明記する必要があります。
住居地に関する届出だけは市区町村の窓口経由になる点など、届出の種類によって窓口が異なります。
住居地に関する届出(転居など)
もっとも身近な変更なのが、住居に関する届出かと思います。
引っ越しをするたびに必要になる手続きです。
初めて住居地を定めたときの届出
上陸許可(初めて日本に来て住所を定めた)や在留資格変更などによって新たに中長期在留者となった方は、住居地を定めた日から14日以内に、住居地の市区町村窓口を通じて出入国在留管理庁長官へ届け出る必要があります。
この際、在留カードそのものを提出することになっており、窓口では住民基本台帳への登録手続きと合わせて処理されるのが一般的です。
引っ越しをしたときの住居地変更届出
すでに日本で暮らしていて、新しい住所へ転居した場合は、「住居地の変更届出」が必要です。
引っ越し先(新住居地)に移り住んだ日から14日以内に、新しい住居地を管轄する市区町村窓口へ在留カードを提示のうえ届け出ます。手数料は原則としてかかりません。
運転免許証のように在留カードの裏面に新住所が記載されます。
入管への届け出は不要?
住民票の異動手続を行った場合、自動的に入管への住居地届出とみなされる仕組みになっています。つまり、多くの方は市区町村の窓口で住民票の手続きをするだけで、入管への届出も同時に完了していることになります。
新しく日本に来た時、引っ越した場合は転入先に市区町村窓口に申請が必要です。
入管への別途届け出は不要です。
氏名・国籍などの記載事項変更届出
届出が必要になるのは、在留カードに記載されている「氏名」「生年月日」「性別」「国籍・地域」のいずれかが変わった場合です。
結婚や離婚による姓の変更が多いと思います。
他に、性別の変更、国籍の変更(帰化や国籍の得喪)などが挙げられます。
届出に必要な書類
共通して必要になるのは、写真(1歳未満の場合は不要)、現在の在留カード、そしてパスポートまたは在留資格証明書の提示です。
パスポートを提示できない場合は、その理由を記した書類を別途提出することになります。
結婚による氏名変更であれば、氏名変更後の記載がなされたパスポートと結婚証明書(日本人と結婚した場合は戸籍謄本)が必要です。
国籍・地域の変更であれば、旧国籍を離脱・放棄したことを証明する文書と、新しい国籍のパスポートなどが求められます。
配偶者に関する届出
「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」、「家族滞在」などの在留資格を持つ方には、配偶者との関係に変化があった場合の届出義務があります。
離婚・死別した場合は届出が必須
配偶者としての身分に基づいて在留している方が、配偶者と離婚または死別した場合、その事由が発生した日から14日以内に届出をしなければなりません。
届出に際して、離婚届受理証明書のような証明資料の提出は不要とされています。(郵送の場合は在留カードのコピーを同封します)。
なお、「来月離婚予定だから先に届け出たい」という要望はよく聞かれますが、まだ発生していない未来の出来事を事由として届け出ることはできません。
あくまで実際に離婚・死別が成立した後に届け出るというルールになっています。
届出を怠るリスクと在留資格への影響
配偶者との関係が終了した場合、届出をするだけでなく、多くのケースで在留資格自体の変更が必要になるという点です。
配偶者としての活動を前提とした在留資格のまま何もせずに在留を続けることはできないため、届出と合わせて、早めに最寄りの地方出入国在留管理官署へ相談することが重要です。
中長期在留者本人が行う所属機関(勤務先・学校)に関する届出
就労や留学の在留資格を持つ方は、勤務先や通学先といった「所属機関」に変化があった場合にも届出が必要です。
「活動機関」と「契約機関」の違い
所属機関に関する届出は、在留資格の種類によって「活動機関」を届け出るケースと、「契約機関」を届け出るケースの2種類に分かれます。
活動機関:実際に活動を行う場所そのもの(大学、勤務先の会社など)。「教授」「留学」「経営・管理」「教育」「企業内転勤」「技能実習」などの在留資格が該当します。
契約機関:雇用契約などを結んでいる相手方(雇用主や個人事業主)。「技術・人文知識・国際業務」「技能」「介護」「研究」「特定技能」などの在留資格が該当します。
自分の在留資格がどちらに分類されるかによって、届出書に記載する内容(実際に働く事業所の名前か、契約相手である本社の名前か)が変わってくるため、最初に確認しておくべきポイントです。
転職・退職・進学時に気をつけたいポイント
以下の事由が発生した日から、14日以内に届け出なければなりません。
- 機関の変更: 名称(会社名)の変更、所在地の変更、消滅(倒産など)
- 離脱・終了: 転職、退職、卒業、契約期間の満了など
- 移籍・新契約: 転職後の新しい会社への所属、進学、新たな契約の締結など
特に注意したいのが、在留資格変更許可を受けて転職した場合です。
この場合はすでに新しい所属先の情報が変更許可の手続きの中で反映されているため、改めての届出は不要とされています。
一方で、在留期間更新で転職した場合は、更新の許可を受けていても転職に関する届出は別途必要になる点に注意しましょう。
また、出向・派遣先変更や二重就労(ダブルワーク)で所属先が増える場合も、原則として届出の対象になります。
転職と同時に在留期間更新許可も受けた場合は届出は必要で、転職と同時に在留資格変更許可を受けた場合は届出は不要です。また、忘れやすいのが名称(会社名)の変更、所在地の変更の場合も届出が必要です。
会社が行う所属機関に関する届出
届出義務は外国人本人だけでなく、受け入れている企業や教育機関の側にも課されています。就労系の在留資格や「研修」を持つ中長期在留者を雇用または離職させた場合、企業は14日以内に受入れの開始・終了を届け出る必要があります。
ただし、労働施策総合推進法に基づく「外国人雇用状況の届出」をすでに行っている企業は、重複して入管への届出を行う必要はありません。
FAQ
1 届出はどこに提出すればよいですか。
引っ越しなどの住所関係は新住居地の市区町村役所に提出、それ以外は管轄の出入国在留管理局に提出を考えてよいです。
管轄出入国在留管理局は以下から確認ができます。
2 必ず期限内の届出が必要ですか。
届け出は届出事由の発生日から14日以内に提出が必要です。期間を過ぎても提出は可能ですが、次の在留申請が不利に働きます。期限内の届け出は必須です。
3 在留資格「技術・人文知識・国際業務」で転職をしました。届出は必要ですか。
「会社を辞めた」「新しい会社に転職した」などの場合は届出は必要です。
なお、転職と同時に在留資格変更許可も受けた場合は届出は不要です。
在留資格申請を行政書士に依頼するメリット
1. 不許可リスクの低減
在留資格の申請において、書類の不備や記載内容の矛盾は、そのまま不許可の原因になります。不許可になると再申請の手間と時間がかかるだけでなく、場合によっては外国人本人の在留状況や雇用計画にも影響が出ます。
2. 最新の法改正・制度変更への即時対応
入管法はルール変更が非常に頻繁です。自分で調べると古いネットの情報を参照してしまうリスクがありますが、プロに依頼すれば最新の基準で申請が行えます。
3. 「届出」&「在留資格の変更」までワンストップでサポート
例えば、転職によって活動内容が変わる場合や、離婚によって「日本人の配偶者等」から別の在留資格に切り替えなければならない場合、どの在留資格が最適かの判断や、その後の変更申請までまとめて任せられるため安心です。
まとめ
在留カードを持つ外国人にとって、届出は「面倒な義務」ではなく、正確な在留状況を維持し、将来の在留審査を円滑に進めるための大切な手続きです。住居地の変更、氏名や国籍の変更、配偶者との離婚・死別、転職や退職など、生活の節目ごとに「14日以内」というルールを意識しておくことが何よりのポイントです。
「自分のケースはどの届出に当てはまるのか分からない」「期限を過ぎてしまった」という場合には、自己判断で放置せず、最寄りの地方出入国在留管理官署や、行政書士などの専門家に早めに相談することをおすすめします。
本記事は2026年7月時点で公表されている出入国在留管理庁の公式情報等をもとに作成しています。改定など制度は変更される可能性があるため、実際の申請にあたっては、必ず出入国在留管理庁の最新情報をご確認ください。

ℳ/大阪の行政書士補助者
2023年行政書士試験合格
大阪市内事務所に勤務している行政書士補助者です。
取扱業務:在留資格、古物商、宅建業、会社設立
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