「第1回新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の申請が、来月末から開始されます。
この補助金は従来の「ものづくり補助金」や「新事業進出補助金」の考え方を統合した新しい制度で、技術的革新性のある製品・サービス開発だけでなく、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出や、海外販路開拓に向けた輸出体制強化まで、幅広い投資が対象になります。
申請受付は9月末からですが、GビズIDの取得や一般事業主行動計画の公表など、事前に準備しておくべき手続きが多いのが特徴です。
本記事では、初めて申請を検討する方でも分かりやすいように、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の全体像から申請枠の選び方、事業計画書のポイントまでを詳しく解説します。
「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」全体像とスケジュール
「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」とは?
本補助金の目的は、中小企業等が行う技術的革新性のある製品・サービスの開発や、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出、海外市場開拓(輸出)に向けた国内の輸出体制強化を後押しすることで、企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことです。
第1回公募のスケジュール
第1回公募のスケジュールは以下の通り予定されています。
| 手続き・イベント | 日程・締め切り |
| 公募開始 | 令和8年6月29日(月) |
| 申請受付開始 | 令和8年9月30日(水) |
| 申請受付締切 | 令和8年10月30日(金) 18:00まで(※厳守) |
| 補助金交付候補者の採択発表 | 令和9年1月頃(予定) |
申請は「GビズIDプライム」アカウントを用いた電子申請のみで受け付けられます。
アカウント未取得の方は、発行に1週間程度かかるため早めの準備が必要です。
補助対象者
補助対象者は、日本国内に本社および補助事業実施場所を有し、以下のいずれかに該当する者です(一部要件を簡略化して掲載しています)。
中小企業者の主な区分は次の通りです。
| 業種 | 資本金(または出資総額) | 常勤従業員数 |
| 製造業、建設業、運輸業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 (※ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| ソフトウェア業・情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
| その他業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
このほか、企業組合・協同組合など一定の組合や連合会、小規模企業者・小規模事業者、特定事業者の一部、特定非営利活動法人、農事組合法人、対象リース会社(中小企業等との共同申請の場合)も対象になり得ます。
「補助対象外」となる事業者
補助対象者の要件を満たしていても、以下に該当する場合は対象外となります(主なものを抜粋)。
このほかにも細かい要件があるため、公募要領の該当箇所を必ず確認してください。
– 申請締切日を起点に16か月以内に、事業再構築補助金・新事業進出補助金・ものづくり補助金・本補助金のいずれかで採択された事業者、または申請締切日時点で交付決定を受け補助事業実施中の事業者
– 応募申請時点で従業員数が0名の事業者
– 新規設立・創業後1年に満たない事業者(新事業進出枠に限る)
– みなし大企業(大企業が株式の一定割合以上を保有している場合など)
– 直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業者
– 法人格のない任意団体、収益事業を行っていない法人、政治団体、宗教法人
– 応募申請日を起点に過去3年間に、事業再構築補助金・新事業進出補助金・ものづくり補助金の交付決定を合計2回以上受けた事業者
– 暴力団または暴力団員と関係がある事業者
3つの申請枠と補助額を最大化させる「特例」
申請枠は「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3つです。3つのうちから1つを選択して申請します。
| 申請枠 | 概要 | 補助率 |
| 革新的新製品・サービス枠 | 自社の技術力を活かした革新的な新製品・新サービス開発 | 中小企業者 1/2 小規模企業・小規模事業者・再生事業者 2/3 |
| 新事業進出枠 | 既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出 | 1/2(特例時 2/3) |
| グローバル枠 | 海外市場開拓に向けた国内輸出体制の強化 | 2/3(一律) |
補助上限額は従業員数によって変わります。
「最大9,000万円」というのは、新事業進出枠またはグローバル枠で従業員101人以上・賃上げ特例適用時の上限額を指しています。
| 申請枠 | 従業員数 | 通常時上限額 | 賃上げ特例時上限額 |
| 革新的新製品・サービス枠 | 1〜5人 | 750万円 | 850万円 |
| 6〜20人 | 1,000万円 | 1,250万円 | |
| 21〜50人 | 1,500万円 | 2,500万円 | |
| 51人以上 | 2,500万円 | 3,500万円 | |
| 新事業進出枠・グローバル枠 | 1〜20人 | 2,500万円 | 3,000万円 |
| 21〜50人 | 4,000万円 | 5,000万円 | |
| 51〜100人 | 5,500万円 | 7,000万円 | |
| 101人以上 | 7,000万円 | 9,000万円 |
補助額を引き上げる2つの特例
①賃上げ特例:一人当たり給与支給総額の年平均成長率を基準値(3.5%)にさらに+2.5%(合計+6.0%)上乗せし、事業場内最低賃金も地域別最低賃金より+50円以上(通常は+30円)とする計画を立て、達成すること。補助上限額が引き上げられます。
②地域別最低賃金引上げ特例:2024年10月~2025年9月の間で、地域別最低賃金の引き上げ幅の影響を受けた従業員が全従業員の30%以上いる月が3か月以上ある場合に適用でき、補助率が1/2から2/3に引き上げられます(グローバル枠や、もともと補助率2/3の事業者は対象外)。
いずれの特例も、事業計画期間終了後に要件を達成できなければ、引き上げ分の補助金の返還が必要になる点に注意が必要です。
満たすべき「基本要件」と返還リスク
補助金を受け取るということは、国と一定の成長目標を約束することでもあります。目標を達成できなかった場合、補助金の返還を求められることがあります。
| 要件 | 内容 | 未達時の扱い |
| 付加価値額要件 | 事業計画期間(3〜5年)で付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)の年平均成長率 4.0%以上 | 返還義務なし(努力目標) |
| 賃上げ要件 | 一人当たり給与支給総額の年平均成長率 3.5%以上 | 未達成率に応じ返還。 表明していなかった場合は全額返還 |
| 事業場内最賃水準要件 | 毎年、事業場内最低賃金が地域別最低賃金より +30円以上 | 未達の年がある場合、補助金交付額 ÷ 事業計画年数の額を返還 |
| ワークライフバランス要件 | 一般事業主行動計画を策定し「両立支援のひろば」で公表 | 未達成の場合は交付決定取消等の対象 |
| 子育て等職場環境整備要件 | ライフデザインサービス活用・家事代行等支援・既存制度周知のいずれかに取り組む | 同上 |
一般事業主行動計画の「両立支援のひろば」への掲載には1〜2週間程度のタイムラグが発生するため、申請締切間際に着手すると審査が間に合わないおそれがあります。早めの準備をおすすめします。
付加価値額要件の目標値は、たとえば現在の付加価値額が5,000万円の企業が5年計画を立てる場合、年4%の複利計算で5年後には約6,083万円(1.22倍程度)まで増やす計画が必要になる、というイメージです。
① 革新的新製品・サービス枠とは
どんな事業が対象になるか
この枠は、自社の技術力を土台に「世の中にない価値」を作る取り組みを支援するものです。公募要領では次のように定義されています。
革新的な新製品・新サービス開発とは、顧客等に新たな価値を提供することを目的に、自社の技術力等を活かして新製品・新サービスを開発することを指します。
ポイントは「顧客にとっての新しい価値」があるかどうかです。既存の製品・サービスの生産プロセスを改善・向上させるだけの取り組みは対象外とされています。
対象外になりやすいケース
- 単に機械装置・システム等を導入するだけで、新製品・新サービスの開発を伴わないもの
- 業種ごとに、同業の中小企業者等(地域性の高いものは同一地域の同業他社)ですでに相当程度普及している新製品・新サービスの開発
つまりシステムを導入して時短といった業務効率化だけでは、この枠の対象にはなりません。あくまで新製品・新サービスの開発が主眼です。
補助額・補助率
| 従業員数 | 補助上限額(通常時) | 補助上限額(賃上げ特例時) |
|---|---|---|
| 1〜5人 | 750万円 | 850万円 |
| 6〜20人 | 1,000万円 | 1,250万円 |
| 21〜50人 | 1,500万円 | 2,500万円 |
| 51人以上 | 2,500万円 | 3,500万円 |
補助率は中小企業者が1/2(賃上げ特例時2/3)、小規模企業・小規模事業者・再生事業者は2/3です。
ただし、小規模企業・小規模事業者は補助金交付候補者としての採択後、交付決定までの間、あるいは交付決定後から補助事業実施期間終了日までの間に定義から外れた場合、補助率が1/2に変わる点に注意してください。
対象経費
機械装置・システム構築費(必須)、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費です。建物費はこの枠の対象経費には含まれていません。
革新的新製品・サービス枠で地域別最低賃金引上げ特例を申請する事業者は、賃上げ特例(補助上限額の引き上げ)を併用できません。
この枠で申請する再生事業者は、賃上げ特例を適用できません。
②新事業進出枠とは
どんな事業が対象になるか
新事業進出枠は、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援する枠で、次の2つの条件を両方満たす必要があります。
- 事業で新たに製造等する製品等が、自社にとって新規性を有すること
- その製品等が属する市場が、自社にとって新たな市場であること
ここでいう新規性は世の中における新規性である必要はなく、あくまで自社にとって新しいかどうかで判断されます。
本補助金の申請予定公募回の公募開始(=公募要領公開)日以降に初めて取り組んでいる事業について、「新規性」を有するものとみなします。
新たな市場とは、既存事業で対象となっていなかったニーズ・属性(法人/個人、業種、行動特性等)を持つ顧客層を対象とする市場を指します。
対象外になりやすいケース(要チェック)
公募要領には、経営者が「新事業だ」と思い込みがちなNG例が7項目、具体的に挙げられています。
| NG例 | |
|---|---|
| 既存の製品等の製造量・提供量を増大させる場合 | 注文が増えたから同じ機械をもう一台買う、といった単純な増産 |
| 過去に製造していた製品等を再製造等する場合 | 昔やっていた事業をもう一度始める |
| 単に既存の製品等の製造方法を変更する場合 | 作り方を変えるだけで、製品自体は変わらない |
| 性能が定量的に計測できる場合に、その性能が有意に異ならない場合 | スペック上の差がほとんどない |
| 既存の製品等と対象とする市場が同一である場合 | 既存製品の需要が新製品の需要に代替されるだけ、単なるメニューの追加 |
| 既存の製品等の市場の一部のみを対象とするものである場合 | ターゲットを絞っただけで市場自体は同じ |
| 既存の製品等が対象であって、単に商圏が異なるものである場合 | A市でやっていることをB市で始めるだけ |
これらに該当すると判断されると、要件不適格として不採択になります。
「既存事業では対象にしていなかった顧客層に、新しい価値を届ける」計画になっているかどうかを、申請前に必ず自己点検してください。
「新市場性・高付加価値性」の審査(この枠だけの追加審査)
新事業進出枠だけに課される審査項目として、以下の①②のいずれかを示す必要があります(選択制)。
① 新市場性:製品等のジャンル・分野の社会的な普及度・認知度が低いこと
中小企業庁の「新市場・高付加価値事業の考え方」によると、ジャンル・分野を区分する際には、製品等の「性能」「サイズ」「素材」「価格帯」「地域性」「業態」「顧客層」「効果」といった要素を含めずに区分する必要があります。
② 高付加価値性:同じジャンルの中で高水準の高付加価値化・高価格化を図るものであること
ジャンル・分野における一般的な付加価値や相場価格を調査・分析したうえで、自社の製品等がそれと比較して高水準の高付加価値化・高価格化を図るものであり、その源泉となる価値・強みの分析が妥当であることを示す必要があります。
補助額・補助率
| 従業員数 | 補助上限額(通常時) | 補助上限額(賃上げ特例時) |
|---|---|---|
| 1〜20人 | 2,500万円 | 3,000万円 |
| 21〜50人 | 4,000万円 | 5,000万円 |
| 51〜100人 | 5,500万円 | 7,000万円 |
| 101人以上 | 7,000万円 | 9,000万円 |
補助率は1/2(賃上げ特例時2/3)で、補助下限額は750万円です。「最大9,000万円」という金額は、この枠の101人以上・賃上げ特例適用時の上限額です。
対象経費
機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費です。
機械装置・システム構築費または建物費のいずれかが必須になります。建物費を計上する場合は「建設」または「改修」に限られ、単なる購入・賃貸は対象外です。
新規設立・創業後1年に満たない事業者は、この枠に限り対象外です(中小企業等の新規事業への進出を通じた成長を目的とする制度のため、創業間もない事業者はそもそも「既存事業からの進出」という前提に当てはまりません)。この場合は最低1期分の決算書の提出が必要です。
この枠では、既存事業で培った知見・技術・設備を、新しい市場や高付加価値な用途に転用している点が見られますが、専ら補助事業のために使用されるものが補助金の対象になります。
顧客層・市場が、実は既存事業の市場とほとんど変わらない場合は補助対象外となります。既存事業と併設して新事業店舗を開設するなどは対象外となり得ます。
一方、同秋に申請が開始される「小規模事業者持続化補助金」は寧ろ、既存事業の製品を新事業でアピールするなど、 既存事業とのシナジーを前面に出した方が評価されやすいです。
小規模事業者持続化補助金については以下の記事をご参照ください。

③グローバル枠とは
どんな事業が対象になるか
グローバル枠は、海外市場開拓(輸出)に向けた国内の輸出体制強化の取り組みを支援する枠で、次の2つの条件を両方満たす必要があります。
- 自社の製品等を活用し、自発的に新たな海外販路を開拓するうえで必要となる国内製造等拠点の強化に取り組むものであること
- 製造等する製品等の属する市場が、自社にとって新たな海外市場であること
ここで重要なのが「自発的」という条件です。公募要領には次のように明記されています。
取引先主導の事業は自発的な取組とは言えず補助対象外です。
取引先から依頼され、受動的に対応するようなプロジェクトは対象になりません。あくまで自社の意思で海外販路を開拓する計画であることが必要です。
新たな海外市場とは、既存事業で対象となっていなかった国・地域の市場を指します。ここでの「地域」は統計上、国に準じてカウントされる領域であり、行政区画(都市単位など)ではない点にも注意してください。
補助額・補助率
補助上限額の表は新事業進出枠と同じです。
| 従業員数 | 補助上限額(通常時) | 補助上限額(賃上げ特例時) |
|---|---|---|
| 1〜20人 | 2,500万円 | 3,000万円 |
| 21〜50人 | 4,000万円 | 5,000万円 |
| 51〜100人 | 5,500万円 | 7,000万円 |
| 101人以上 | 7,000万円 | 9,000万円 |
補助率はこの枠だけ一律2/3で、他の枠のような「賃上げ特例で1/2から2/3へ引き上げ」という仕組みはありません(もともと最も高い補助率が適用されています)。
この枠だけの対象経費
新事業進出枠の対象経費(機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費)に加えて、以下の2つがこの枠だけで対象になります。
- 海外旅費:海外事業の拡大・強化を目的とした渡航・宿泊等の経費。1人あたり最大50万円(補助対象経費に補助率を乗じた補助金額としての上限)。一度の渡航で使えるのは事業者3名まで、専門家や通訳が同行する場合はさらに2名まで加算可能です。
- 通訳・翻訳費:上限30万円(税抜き)。ただし翻訳費は広告宣伝・販売促進に必要な翻訳のみが対象で、事業計画に関する契約書の翻訳は対象外です。
この枠ならではの注意点
- 口頭審査の対象になった場合、輸出先の国・地域に特有のリスクや、文化・法規制・商習慣の違いを十分に把握していることが求められます。
- この枠で申請する再生事業者は、賃上げ特例を適用できません。
- 補助率がもともと2/3であるため、地域別最低賃金引上げ特例(補助率を引き上げる特例)はこの枠では適用できません。
自社はどの枠に向いているか
3枠の使い分けを一言でまとめると、次のようなイメージです。
- 既存事業の延長線上で、自社の技術を活かした新しい製品・サービスを作りたい → 革新的新製品・サービス枠
- これまでと違う顧客層・違う市場に、新しい製品やサービスで挑みたい → 新事業進出枠
- 自社の製品を、これまで取引のなかった海外の国・地域に売り込みたい → グローバル枠
なお、公募要領には「複数の事業を計画している場合、事業計画書中に複数の事業の内容を記載して申請することが可能」とありますが、いずれにしても1回の公募につき1申請までという制約があります(みなし同一事業者も同様)。
どの枠でどんな事業を申請するかは、複数の選択肢がある場合ほど慎重に検討する必要があります。
「補助対象経費」と「対象外項目」の把握
主要な補助対象経費
| 項目 | 備考・上限規制 |
| 1. 機械装置・システム構築費 | 「革新的新製品・サービス枠」は必須。 「新事業進出・グローバル枠」は「建物費」とのいずれかが必須。 |
| 2. 建物費 | 「新事業進出・グローバル枠」のみ。 建設・改修に限り対象。単なる購入や賃貸は対象外。 |
| 3. 運搬費 | – |
| 4. 技術導入費 | 経費総額の 1/3 まで |
| 5. 知的財産権等関連経費 | – |
| 6. 外注費 | 経費総額の 1/4 まで |
| 7. 専門家経費 | 経費総額の 1/5 まで |
| 8. クラウドサービス利用費 | – |
| 9. 原材料費 | – |
| 10. 広告宣伝・販売促進費 | 事業計画期間の年平均売上見込み額の 5% まで |
| 11. 海外旅費 | 「グローバル枠」のみ。 1人あたり最大50万円、1度の渡航で最大3名まで。 |
| 12. 通訳・翻訳費 | 「グローバル枠」のみ。 上限30万円。広告宣伝目的のみ対象(契約書翻訳は対象外)。 |
広告宣伝費の上限は、たとえば5年間の売上見込みが1億円なら「1億円÷5年×5%=100万円/年」という計算になります。
補助対象外となる経費例
– 汎用性が高いもの:一般的なパソコン、タブレット、スマートフォン、家具、家電、事務用プリンタ
– 車両・船舶・航空機(税法上「車両及び運搬具」に該当する自動車など)
– 自社従業員の人件費・旅費
– 文房具などの消耗品、事務所の家賃、電気代
– 振込手数料、代引き手数料、申請書類の作成代行費用
– 消費税などの公租公課(補助対象経費はすべて税抜きで計算)
補助対象経費の契約(発注)・支払いは、交付決定日以降に行ったものに限られます。交付決定日より前に発注・契約した経費は対象外です。また、支払いは原則として銀行振込で行う必要があり、現金払いや手形払いなどは対象外となります。
申請から受取までのステップ
| ステップ | 項目 | 内容・詳細 | 期限・予定 |
|---|---|---|---|
| 準備 | GビズIDプライムアカウント取得 | 電子申請に必要なアカウントを取得する | 取得に1週間程度必要 |
| 一般事業主行動計画の策定・公表 | 「両立支援のひろば」に公表する | 公表手続きに1〜2週間程度 | |
| 計画策定 | 事業計画書の策定 | 補助事業の内容や目標値を電子申請システムに入力してまとめる | – |
| 申請 | 申請書類の提出 | GビズIDを使用し、電子申請システムで提出する | 令和8年10月30日(金)18:00まで |
| 選考 | 書面審査・口頭審査 | 外部審査員による書面審査。必要に応じてオンライン口頭審査(1事業者15分程度) | – |
| 発表 | 採択発表 | 事務局による審査後、補助金交付候補者として採択・不採択が通知される | 令和9年1月頃予定 |
| 説明会 | 交付候補者向け説明会参加 | 事務局が実施するオンライン説明会に参加(不参加の場合、採択が無効になる) | 採択発表後 |
| 交付申請 | 交付申請 | 経費の精査を経て交付決定額が確定する(応募時の申請額を上回ることはない) | 採択発表日から原則2か月以内 |
| 開始 | 交付決定 | 「交付決定通知書」が届く ※ここから発注・契約・支払いが可能 | 補助事業実施期間は交付決定日から10〜14か月以内(枠により異なる) |
| 実施 | 相見積もり等の取得 | 契約(発注)先の選定にあたり複数の見積書を取得(1件50万円以上は3者以上) | 交付決定後、契約前に取得 |
| 報告 | 実績報告書の提出 | 事業完了後、実績報告書と経理・証拠書類一式を提出する | 補助事業完了日から30日を経過した日、または補助事業完了期限日のいずれか早い日まで |
| 検査 | 確定検査(実地検査) | 事務局が経費や成果物を確認し、補助金の確定額を算定する | 実績報告後 |
| 受取 | 補助金の請求・交付 | 確定した金額を請求し、口座に振り込まれる | – |
| 事後 | 事業化状況報告 | 補助事業完了日の属する年度の終了後を初回として、以降5年間・計6回、事業化等の状況を報告する | 各報告年度終了後、期限までに提出(未提出の場合は交付決定取消・返還対象) |
補足:交付決定日より前に発注・契約・支払いをした経費は対象外になります(事前着手の禁止)。また実績報告後も、会計検査院や事務局による抜き打ちの実地検査が入ることがあります。
補助事業完了後も5年間、事業化状況・知的財産権等報告書の提出が求められます。賃上げ要件や事業場内最賃水準要件を達成できていないと判明した場合は、この段階でも補助金の返還を求められることがあるため、交付決定後も継続的な管理が必要です。
「事業計画書」を作成するための3つのポイント
有識者による審査を通過するには、説得力のある事業計画書が欠かせません。
①事業者の思いを数字で裏付ける
審査では、市場規模や自社がそのシェアを取れる根拠を、客観的なデータで示すことが重視されます。「地域を元気にしたい」という想いだけでなく、定量的な裏付けが必要です。
②競合優位性を具体的に示す
他社より良いだけではなく、他社は〇〇だが、自社は××という技術があるため、価格が高くても顧客は自社を選ぶなどといった具体性のある説明が求められます。新事業進出枠に申請する場合は、製品等のジャンル・分野の社会的な普及度・認知度が低いこと(新市場性)、または同じジャンルの中で高水準の高付加価値化・高価格化を図るものであること(高付加価値性)のいずれかを、客観的なデータとともに示す必要があります。
③財務の健全性と実行力を示す
補助金は後払いのため、設備を購入するためのつなぎ資金の目処が立っているか、誰がプロジェクトを担当するのかという体制図まで含めて記載することが評価につながります。金融機関から資金提供を受ける場合は「金融機関による確認書」の提出も必要です。
補助金申請を「行政書士」に依頼するメリット
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の申請は、単に書類を埋める作業ではありません。3つの申請枠から自社に合ったものを選び、複数の返還リスクを伴う要件を正確に理解した上で、論理的な事業計画を組み立てる高度なプロセスです。
①申請枠の選定と「新市場性・高付加価値性」の整理をサポート
新事業進出枠で求められる「ジャンル・分野の区分の仕方」は、製品の性能・サイズ・素材・価格帯・地域性・業態・顧客層・効果といった要素を含めずに区分する必要があるなど、独特の考え方が必要です。行政書士は公募要領や関連資料を読み込み、自社の事業がどの枠・どの要件に該当するかを整理し、審査員に伝わる形で言語化するお手伝いをします。
②複数の返還リスクがある要件の管理を整理できる
付加価値額要件、賃上げ要件、事業場内最賃水準要件、ワークライフバランス要件など、達成できなければ返還義務が生じる要件が複数あります。どの要件にどの程度の返還リスクがあるのか、事業計画期間中に何を報告する必要があるのかを事前に整理しておくことで、交付決定後の管理もスムーズになります。
③「時間」という経営資源を確保できる
経営者にとって最も貴重なリソースは時間です。電子申請システムへの入力や添付書類の準備、口頭審査の対策には相応の時間がかかります。書類準備の負担を軽減することで、経営者は本業に集中できます。
ただし、本補助金は「申請者自身が事業計画を作成すること」が前提の制度です。専門家はあくまで「助言」や「サポート」を行う立場であり、作成の丸投げは認められません。行政書士は「代行」ではなく「伴走」支援として、事業者の考えを言語化しつつ、要件の見落としや形式不備といったリスクから事業者を守る役割を果たします。
まとめ
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回)のスケジュールは以下の通りです。
| 項目 | 日程・期限 |
| 公募開始 | 令和8年6月29日(月) |
| 申請受付開始 | 令和8年9月30日(水) |
| 申請受付締切 | 令和8年10月30日(金) 18:00まで(※厳守) |
| 採択発表予定 | 令和9年1月頃(予定) |
補助金申請を成功させるためには、GビズIDの取得や一般事業主行動計画の公表など、申請締切よりも前に済ませておくべき手続きを早めに終わらせておく必要があります。10月になってから動き出すのではなく、夏のうちから準備を始めることが採択への近道です。
そして、事業計画書には客観的なデータを用いて、市場規模や自社の強みを裏付けたストーリーを組み立てることが重要です。
自社だけで進めることに不安がある場合は、行政書士への相談も有効な選択肢のひとつです。
※本記事の内容は、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(1.2版、令和8年8月14日改訂)に基づいています。申請にあたっては、必ず最新の公募要領を事務局ホームページでご確認ください。
参考:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(独立行政法人中小企業基盤整備機構)
参考:新市場・高付加価値事業の考え方(中小企業庁・独立行政法人中小企業基盤整備機構)


