日本にも外国人対象のワーキングホリデーの制度があるのかとご相談を受けたことがあります。 日本にもワーキングホリデーで日本に滞在しながら、働いて旅をしている人もいます。
とはいえ、いざ申請を考え始めると、「年齢制限は?」「途中でビザを変更できる?」「働いていい仕事とダメな仕事の境界線は?」など、疑問は尽きません。
この記事では、ワーキングホリデーの概要・申請条件等を解説していきます。
ワーキングホリデーとは何か
本来の目的は「休暇」、仕事は付随的
ワーキングホリデーと聞くと「日本でお金を稼ぎながら暮らせるビザ」というイメージを持つ人も少なくないでしょう。ですが、制度としては少し違います。
二国間の取り決めに基づき、それぞれの国の若者に「休暇目的での入国」を認め、その滞在中に旅行や生活の資金を補うための付随的な就労(アルバイト)を認める、というのが本来の趣旨です。
対象は32の国・地域(2026年4月時点)
日本は1980年、オーストラリアとの間でこの制度をスタートさせました。 それ以降、協定を結ぶ国や地域は増え続け、外務省の発表によると2026年4月1日時点で32の国・地域との間で制度が運用されています。
| 地域 | 国・地域名 |
| オセアニア | オーストラリア、ニュージーランド |
| 北米 | カナダ |
| アジア | 韓国、台湾、香港 |
| ヨーロッパ | フランス、ドイツ、英国、アイルランド、デンマーク、ノルウェー、ポルトガル、オーストリア、スペイン、アイスランド、スウェーデン、エストニア、オランダ、フィンランド、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、イタリア |
| 東欧 | ポーランド、スロバキア、ハンガリー、チェコ |
| 中南米 | アルゼンチン、チリ、ウルグアイ |
2026年にはマルタとイタリアが新たに加わったばかりで、対象国は今も少しずつ広がっています。
ワーキング・ホリデー・査証(ビザ)発給要件一覧
国・地域によって査証の発給要件に違いがあります。詳細については、それぞれの国・地域にある日本国大使館・総領事館へお問合せください。
- 相手国・地域に居住する相手国・地域の国民・住民であること。
- 一定期間相手国・地域において主として休暇を過ごす意図を有すること。
- 査証申請時の年齢が18歳以上30歳以下であること*
- 子又は被扶養者を同伴しないこと。
- 有効な旅券と帰りの航空券等(又は航空券等を購入するための資金)を所持すること。
- 滞在の当初の期間に生計を維持するために必要な資金を所持すること。
- 健康であること。
- 以前にワーキングホリデー・査証を発給されたことがないこと(後述の「生涯2回」対象国・地域を除く)。
発給要件を詳しく確認
年齢は原則18歳〜30歳、ただし国によって例外あり
ビザ申請時点の年齢は、原則として18歳以上30歳以下であることが必要です。
ただし例外もあり、オーストラリア、カナダ、韓国、アイルランドとの間では基本の上限が「18歳以上25歳以下」と狭く設定されています。
台湾のように、最初から一律で「18歳以上30歳以下」と定められている国・地域もあります。
いずれにしても、30歳を超えるとこのビザは基本的に対象外になってしまうため、「いつか行きたい」と漠然と考えている段階なら、期限から逆算して計画を立てるのがおすすめです。
「一生に一度」から「一生に二度」へ
これまでワーキングホリデービザは「人生で一度きり」というのが世界共通の認識でした。ですが近年、日本政府はこの原則を段階的に見直しています。
- 2024年12月1日から:カナダ、英国、ニュージーランド、デンマーク、オーストリアの国籍者
- 2025年1月1日から:ドイツ、アイルランド、スロバキアの国籍者
- 2025年10月1日から:韓国国籍者
- 2026年2月1日から:台湾出身者
これらの国・地域の出身者は、条件を満たせば生涯で2回、あるいはカナダ・英国籍の場合は2回もしくは2年連続での参加が認められるようになりました。
パスポート・お金・健康の要件
年齢以外にも、確認しておくべき要件がいくつかあります。
有効なパスポートと帰国の手段:相手国が発行した有効な旅券に加え、日本滞在終了後に帰国するための航空券、またはそれを購入できるだけの資金が必要です。
当面の生活を支える資金:日本に着いてすぐ仕事が見つかるとは限りません。数ヶ月分の生活費(家賃や食費)を賄えるだけの預貯金を用意しておく必要があり、申請時には残高証明書の提出を求められるのが一般的です。
健康と海外旅行保険:心身ともに健康であること、そして万が一の病気やケガに備えて民間の海外旅行傷害保険に加入しておくことが事実上必須とされています。
ワーキングホリデービザ申請〜来日までのフロー
申請から来日・住民登録までの流れを整理します。基本的な流れは共通していますが、国・地域によって必要書類や様式は異なりますので政府公式の情報を確認ください。
年齢(18〜30歳)、休暇目的であること、子・被扶養者を同伴しないこと、健康であることなど、外務省が定める基本要件を満たしているか確認します。年間発給枠や必要書類はフランス国内の日本大使館・領事館の案内に基づき決まります。
- 有効なパスポート
- 証明写真
- 査証(ビザ)申請書
- 滞在計画書(どのように休暇を過ごすか、就労はあくまで付随的であることが伝わる内容)
- 志望理由書
- 履歴書
- 残高証明書(数ヶ月分の生活費が確認できるもの)
- 海外旅行傷害保険の加入証明
- 往復航空券、または購入資金の証明
などが一般的な書類になります。
ワーキングホリデービザは、申請者本人が母国にある日本大使館・総領事館に直接出向いて申請することが前提です。日本国内の入管窓口や、すでに日本にいる状態からの申請・切替はできません。
大使館・領事館の担当者が、休暇目的での滞在という制度趣旨に合っているか、出稼ぎ目的に偏っていないかなどを含めて審査します。
審査を通過すると、パスポートに査証が発給されます
日本の空港で入国審査を受けると、パスポートに「指定書」が添付されます。ここには、法務大臣が個別に指定した活動内容、滞在期間はどれくらいか(通常1年)が記載されています。
住む場所が決まったら14日以内に市区町村の窓口で住居地の届出(住民登録)を行うことが法律で義務付けられています。これを怠ると在留カードに住所が反映されず、銀行口座の開設や携帯電話の契約、アルバイトの開始にも支障が出てしまいます。
仕事のルール ― 法律を守って気持ちよく働くために
「風俗営業等」での就労は理由を問わず禁止
日本滞在中、生活費や旅行資金を補うためにアルバイトをすること自体は認められていますが、どんな仕事でもよいわけではありません。
特に「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」が定める業種――キャバクラ、ホストクラブ、ガールズバー、スナック、麻雀店、パチンコ店、ゲームセンター、個室ビデオ店など――での就労は一律で禁止されています。
スナックで自分は接客をするわけではなく、皿洗いや清掃の裏方だから大丈夫という考え方が通用せず、こうした業種に関わる仕事である以上、裏方業務であっても資格外活動・不法就労とみなされます。
違反が発覚した場合、退去強制(強制送還)という重いペナルティが科され、以後の日本への入国が難しくなる可能性がある上、雇用主側も不法就労助長罪に問われることになります。
求人を探す際は、その職場がこうした業種に該当しないか、事前によく確認しておきましょう。
仕事探しは公的機関を頼るのが安心
「日本語にあまり自信がないけれど、どうやって仕事を探せばいいんだろう」「怪しい仲介業者に高い手数料を取られたくない」――そんな不安を抱える人には、国が運営する公的な支援窓口の利用をおすすめします。
- 外国人雇用サービスセンター(東京・名古屋・大阪・福岡):外国人の就職支援に特化した専門機関で、複数言語に対応できる相談員が常駐し、履歴書の書き方や面接対策まで相談できます。
- 全国のハローワーク:地方都市でのリゾートバイトや農作業、ホテルのフロント業務なども含め、地域に根ざした求人を紹介してもらえます。
いずれも無料で利用できる公的サービスです。民間の仲介業者の中には高額な手数料を要求したり、労働条件に問題のある職場を紹介したりするケースも報告されているため、まずはこうした公的な窓口から情報収集を始めるのが安心です。
就労ビザへの変更は「国籍」によって扱いが分かれる
「ワーキングホリデー中に良い職場が見つかったので、そのまま就労ビザに切り替えて働きたい」――これは多くの人が思い描く理想的な流れですが、実際には国籍によって扱いが大きく異なります。
日本に滞在したまま「特定活動(ワーキングホリデー)」から就労ビザへの在留資格変更が認められているのは、次の5つの国・地域籍者に限られるとされています。
オーストラリア
ニュージーランド
カナダ
ドイツ
韓国
これら以外の国籍の場合、原則として一度帰国し、雇用先の企業が「在留資格認定証明書(COE)」の交付を受けたうえで、あらためて現地の日本大使館等で就労ビザを申請し、再入国するという流れになります。
「就職先が決まったのに、手続きの都合で急に帰国しなければならなかった」というトラブルを避けるためにも、自分の国籍がどちらに該当するのか早めに確認しておくことが大切です。
なお、上記5カ国であっても、変更が無条件に認められるわけではありません。
学歴や職務内容、雇用先企業の体制などを総合的に審査した上での個別判断となります。技人国のビザで日本で就労したい場合には、申請人は技人国の要件を満たす必要があります。
「ワーホリで1年働いて、在留資格変更が認められている国・地域籍者であるから、自動的に就労ビザに変わる」というものではない点には注意が必要です。
就労ビザへの切替フロー(国籍別の2パターン)
【パターンA】対象5カ国籍者(オーストラリア・ニュージーランド・カナダ・ドイツ・韓国)
- 雇用先企業と雇用契約を締結する
- 在留資格該当性のある職種か確認する(例:技術・人文知識・国際業務に該当する専門職かどうか)
- 在留資格変更許可申請書、雇用契約書、会社の登記事項証明書・決算書、学歴・職歴を証明する書類、パスポート・在留カードを準備する
- 地方出入国在留管理局に申請する(審査は通常1〜3ヶ月程度)
- 許可が下りたら新しい在留カードを受け取り、そのまま就労を開始する
【パターンB】上記5カ国以外の国籍者(例:フランス、英国、台湾など)
- 日本の雇用先企業が、地方出入国在留管理局に「在留資格認定証明書交付申請」を提出する(本人の代理人として企業側が申請)
- 審査(通常1〜3ヶ月程度)を経てCOEが交付される
- ワーホリの在留期限内、またはその前後に一度日本を出国する
- 本人が母国にある日本大使館・総領事館へCOEの原本・パスポート・証明写真・査証申請書を提出し、就労ビザ(査証)の発給を申請する
- 査証発給後、改めて日本へ入国し、空港でCOEと引き換えに在留カードを受け取り、その在留資格で就労を開始する
ワーキングホリデーの延長はできない
「日本での生活が楽しすぎて、もう1年滞在を延ばしたい」と考える人は多いですが、残念ながらワーキングホリデービザ(特定活動)は、通常の在留期間更新を繰り返して何年も延長する、という仕組みにはなっていません。
在留期間は二国間の合意に基づき「1年」または「6ヶ月」と定められています。6ヶ月の場合、最大1年までの延長が国内で認められることはありますが、それ以上――2年目、3年目へと延ばすことは同じビザの枠組みでは不可能です。
前述の「生涯2回」ルールの対象国であっても、1回目の期間が終わったら一度出国し、あらためて本国で2回目の申請を行ってから再入国するというステップを踏む必要があります。ワーキングホリデーのまま日本にずっと居続ける、という発想自体が制度上想定されていない、と捉えておくとよいでしょう。
他のビザから国内で直接ワーキングホリデーへの切り替えはできない
留学ビザで日本語学校に通っている人や、観光ビザで来日して「気に入ったから住み続けたい」と考える人の中には、国内でワーキングホリデービザに切り替えられると誤解しているケースも見られます。
しかし審査基準上、すでに日本に在留している人からの「特定活動(ワーキングホリデー目的)」への変更申請は、原則として認められません。
ワーキングホリデービザは「申請者本人が母国にある日本大使館・総領事館で直接申請し、発給を受けること」を前提に制度設計されているためです。
つまり、観光や留学で日本に滞在しながら国内の入管窓口でワーキングホリデーに切り替える、ということはできません。取得を希望する場合は、一度日本国外に戻り、現地の日本大使館等で正式な申請手続きを行う必要があります。
日本で長く在留したいなら| 行政書士に相談するという選択肢
ワーキングホリデーから「就労ビザへの切替(COE・在留資格変更)」は本人の経歴により許可が下りるビザの種類が変わります。
行政書士に相談すれば、最新の要件・必要書類の整理、理由書作成などのCOE申請や在留資格変更申請の代行まで任せることができます。その分、語学の勉強や仕事の引き継ぎなど、渡航前や在留中に本当に集中したい準備に時間を使えるようになります。
まとめ
日本のワーキングホリデー制度は、働きながら学び、旅行できるという制度です。一方で、年齢制限や「生涯2回」ルールが国ごとに異なるタイミングで導入されていること、国内でのビザ変更・更新が国籍によって扱いが異なることなどは日本に来る前に確認しておく事項となります。
また、発給要件、申請方法や申請書類などは国・地域によって違いがありますので、それぞれの国・地域にある日本国大使館・総領事館へお問合せください。
※本記事の内容は、外務省のHPに基づいています。申請にあたっては、必ず最新の情報をホームページでご確認ください。


