「業務効率を上げたい」「従業員の給料を上げたい」などと悩んでいる大阪の経営者の方におすすめの補助金があります。その名も「令和8年度 利益率向上・賃上げ支援事業」です。
この制度は大阪府にある中小企業や個人事業主を対象に、最大500万円の補助金を支給するものです。
ただし、申請できる期間は令和8年6月26日(金)の17時までと限られています。
この記事では、「令和8年度 利益率向上・賃上げ支援事業」の制度の内容から申請の流れまでをわかりやすく解説します。
補助金の全体像
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助事業者 | 大阪府内で事業を行う中小企業(個人事業主を含む)等 |
| 採択事業者数 | 予算の範囲内において600者程度 |
| 補助対象経費 | 利益率向上に向けた取組みを実施するにあたり、以下項目に当てはまる経費 ・機械装置、システム構築費 ・開発費 ・専門家経費 ・外注費 ・知的財産権等関連経費 ・広告宣伝、販売促進費 ・研修費 |
| 補助対象期間 | 交付決定日から令和9年1月31日(日)まで |
| 補助率 | 補助対象となる経費総額の2/3以内 |
| 補助金額 | 上限500万円 |
| 伴走支援 | 採択事業者のうち100者に対し、専門家による事業計画実施支援を提供 |
| 申請受付期間 | 令和8年5月25日(月)~ 6月26日(金)17:00まで |
| 交付決定日 | 令和8年8月上旬(予定) |
利益率向上・賃上げ支援事業の目的とは
ここ数年、電気代・仕入れコスト・材料費などの値段が上がっています。中小企業や個人事業主にとって、この物価高騰は経営を直撃する深刻な問題です。
そこで大阪府が打ち出したのが、この支援事業です。大阪府内で働く人たちの給料アップを実現するために、会社のもうかる力を高める取り組みを応援する制度です。
予算の範囲内において利益率向上・賃上げ支援事業補助金を交付するとともに、必要に応じ伴走支援が実施されます。
伴走支援とは?
、この制度のもう一つの魅力が、補助金だけでなく専門家による事業サポート(伴走支援)も受けられる点です。
採択された600者のうち、希望調査を経て100者が伴走支援の対象に選ばれます。費用は無料です。
支援テーマの例としては、次のようなものが予定されています。
- 展示会・催事での商品ブラッシュアップ
- プレスリリースの書き方・活用法
- ECサイト(ネット販売サイト)の立ち上げと運営
- 採用・評価制度の見直し
- 生産性向上・価格転嫁などその他の経営全般
「専門家に相談したいけど費用が心配」という方には、大きなメリットになります。
スケジュールの全体像
申請受付は2026年5月25日からで、締め切りは2026年6月26日17:00(予定)です。補助金採択者決定は8月、補助金の支払いは2027年3月です。
また、申請は電子申請のみで受け付けられます。
補助対象者
利益率向上・賃上げ支援事業の申請を行うには、次に掲げる要件を満たす必要があります。
①賃金引き上げに向けた宣言書の提出
従業員の給与支給総額を、基準年度と目標達成年度で比較し、2.0%以上上昇させる目標値を設定のうえ、目標達成に向けた取組みの推進に努めることを、従業員に対し宣言する必要があります。
②従業員に関する要件
この補助金を申請するには、申請時点で「常時使用する従業員」が1人以上いることが必要です。
「常時使用する従業員」とは、いわゆるフルタイムのスタッフのことで、日雇い労働者や2か月以内の短期契約で働く人、代表取締役や役員は含まれません。
③中小企業者の要件
この補助金は、.以下の条件を満たす中小企業者(個人又は法人)が対象となります。
| 業種 | 資本金(どちらかを満たせばOK) | 従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業など | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| ソフトウェア・情報処理業 | 3億円以下 | 300人以下 |
個人事業主の方も申請できます。法人だけでなく、フリーランスや自営業の方も対象です。
また、大阪府内に本店・事業所・住所があることが必須条件になります。
申請できない場合のチェックリスト
次のどれかに当てはまる場合は申請できません。
- 税金の未払いがある(法人税・所得税・消費税・地方税など、過去3年分)
- 暴力団との関係がある
- 申請書類に嘘の記載をした
- 事業計画の作成を外部の業者に丸投げ(外部の専門家にアドバイスをもらうのはOKですが、作成自体は必ず自分で行う必要があります。
補助対象事業とは?何に使える?
令和8年度 利益率向上・賃上げ支援事業の目的は、持続的な賃金引き上げの実現をめざし、生産性向上や売上拡大などの利益率向上を図るであり、この目的に当てはまる経費が対象になります。
対象例
①生産性を上げる「最新機械やシステム」の導入
今まで手書きで管理していた在庫を自動管理システムに変えたり、AIを搭載した最新の加工機械を導入したりする費用など。
②お客さんを増やすための「ネット広告・チラシ・展示会」
新しいWebサイトを作ったり、SNS広告を出したり、展示会に出展して新規顧客を開拓したりする費用など。
③社員のスキルを磨く「研修」や外部の「専門家への相談」
新しい機械を使いこなすための技術研修や、経営コンサルタントなどの専門家からアドバイスをもらう費用など。
補助金が使える7つの経費カテゴリー
補助金で使えるお金には、決まったカテゴリーがあります。大きく分けると以下の7種類です。全て専ら本補助事業の遂行のために必要な経費である必要があります。
| 経費項目 | 内容 |
|---|---|
| ①機械装置・システム構築費 | ① 単価5万円(税抜き)以上の機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作、リース・レンタルに要する経費 ② 専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用に要する経費 ③ ①又は②と一体で行う、改良・修繕、据付け又は運搬に要する経費 |
| ②開発費 | 試作開発に係る原材料・設計・製造・加工、新製品の市場調査等に要する経費 |
| ③専門家経費 | 専門家に支払われる経費 |
| ④外注費 | 加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費 |
| ⑤知的財産権等関連経費 | ① 知的財産権等の導入に要する経費 ② 特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用や、外国特許出願のための翻訳料など、知的財産権等取得に関連する経費 |
| ⑥広告宣伝・販売促進費 | 広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、展示会等出展、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツール活用等に係る経費 |
| ⑦研修費 | 教育訓練や講座受講等に係る経費 |
① 機械装置・システム構築費
新しい機械やソフトウェアの導入費用。単価5万円(税抜き)以上のものが対象です。クラウドサービスの利用料も含まれます。
⚫ 汎用品(パソコン・タブレット端末・スマートフォン・プリンター等)
⚫ 消耗品費(事務用品等)
⚫ 自動車等車両(汎用性のあるもの)
② 開発費
新商品のる原材料費・設計費・製造費・加工費・運搬費や市場調査など。
すでに販売中の商品の製造費用
③ 専門家経費
コンサルタントや専門家への相談・アドバイス料。1日あたりの上限は5万円(税抜き)です。
税務申告・決算書作成等のために税理士・公認会計士等に支払う費用
④ 外注費
設計・デザイン・検査などを外部に依頼した費用。ただし、外注費だけで補助対象経費の50%を超えることはできません。
外部に販売・レンタルするための量産品の加工等に係る外注費
⑤ 知的財産権等関連経費
特許の取得や、ライセンス料など。弁理士への手続き代行費も含まれます。
日本の特許庁に納付する手数料等(出願料、審査請求料、特許料等)
⑥ 広告宣伝・販売促進費
新聞、テレビ、ラジオ、インターネット等への広告掲載費、展示会の出展費用、ネット広告など。
●補助事業と関係のない自社製品・サービス広告に関する経費
●交際費
⑦ 研修費
新しく導入する機械やシステムを使うための専門研修費用。研修費は補助対象経費全体の1/3以内という上限があります。
●一般的なスキルアップ目的の研修
●資格等を取得するための受験に係る費用
見積もりのルール・経費計上の注意点
補助金を申請する際、経費の使い方にはいくつかルールがあります。
①見積もりは必ず取ること
1件あたり50万円(税抜き)以上の発注をする場合は、複数の業者から見積もりを取り(相見積もり)、最も安い業者を選ぶことが原則です。「いつもお付き合いのある業者だから」という理由だけで相見積もりを省略することは認められません。
②消費税は含まない
申請書や報告書の金額は、すべて税抜きの金額で記入します。
③支払い方法は銀行振込が基本
現金払いやクレジットカードの一部払い、ポイント使用などは原則認められません。支払いの証拠として振込明細書を必ず保存してください。
④補助事業期間内の経費のみ対象
交付決定(令和8年8月上旬予定)の前に発注・契約したものは対象外です。補助金が決定してから初めて発注できる点に注意しましょう。
申請から入金までのスケジュール全体像
| ステップ | 期間・時期 | 手続き内容とポイント |
|---|---|---|
申請書の提出 | 令和8年5月25日 〜 6月26日 17:00 | 電子申請フォームから提出します。 【申請URL】 電子申請フォーム |
審査 | 6月 〜 8月 | 大阪府が提出された事業計画の内容を審査します。 |
交付決定の通知 | 令和8年8月上旬(予定) | 採択された事業者に通知書が届きます。 ※この通知が届いた時点から補助事業をスタートできます。 |
補助事業の実施 | 交付決定日 〜 令和9年1月31日 | 計画した事業を実施(機械の購入やシステム構築など)します。 ※期間中の費用はすべて一旦自己負担となります。 |
実績報告 | 令和9年2月12日まで | 事業が完了したら、報告書とあわせて領収書などの「証拠書類」を提出します。 |
補助金額の確定・請求 | 令和9年3月 | 大阪府が報告書を検査し、金額が確定したあとに請求書を提出します。 |
補助金の支払い | 令和9年3月下旬(予定) | 指定の銀行口座へ振込で補助金が入金されます。 |
補助金は後払いです。先にお金がもらえるわけではないので、事業実施中の資金繰りは自分で対応する必要があります。
申請に必要な書類一覧
電子申請フォームから申請するにあたり、以下の書類を準備する必要があります。
電子申請フォームに直接入力する書類
– 補助金交付申請書
– 事業計画書
– 補助対象経費の支出計画書
– 賃金引き上げに向けた宣言書
アップロードする書類
– 要件確認申立書(特設ページからダウンロード)
– 暴力団等審査情報(特設ページからダウンロード)
– 登記事項証明書(法人)または住民票(個人)※発行3か月以内
– 法人税確定申告書別表一(法人)または所得税確定申告書第一表(個人)
– 府税の納税証明書(府税事務所発行)
– 国税の納税証明書(税務署発行)
– 決算書類(損益計算書・法人事業概況説明書など)
書類の種類が多くて大変そうに感じるかもしれませんが、ほとんどは日頃の確定申告で使っているものです。税務署や府税事務所で取得できるものも多いので、余裕を持って準備しましょう。
採点が上がる!審査で加点になるポイント
この補助金は、申請すれば必ず採択されるわけではなく、審査によって選ばれます。そのため、加点要素を押さえておくことが重要です。
加点ポイント①|事業継続計画(BCP)の策定
BCP(事業継続計画)とは、災害や緊急事態が起きたときに事業を続けるための計画書です。策定済みの事業者(策定予定も含む)は審査で加点されます。大阪府のホームページでBCPについての情報が提供されています。
加点ポイント②|パートナーシップ構築宣言への登録
「パートナーシップ構築宣言」とは、大企業と中小企業が対等な取引関係を築くことを宣言する制度です。申請日までに宣言を登録し、令和8年7月8日(水)までに公表されている必要があります。
行政書士に依頼するメリット
今回の補助金申請において、行政書士に依頼することには、以下のようなメリットがあります。
ただし、募集要項には「申請者自身による申請」が強く求められている点など、重要な注意点もあります。それらを踏まえたメリットを整理しました。
1. 申請要件の正確な確認とミス防止
この補助金には、大阪府内の拠点、従業員数1人以上、給与支給総額2.0%以上のアップといった細かい要件があります。行政書士に依頼することで、以下の点でのミスを防げます。
- 対象事業者の判定: 資本金や従業員数、法人の形態(行政書士法人なども対象に含まれます)が要件を満たしているか正確に判断できます。
- 欠格事由のチェック: 納税状況(法人税、消費税等)の完納や、過去の罰金刑の有無など、自分では見落としがちな申請不可の条件を事前に確認できます。
2. 膨大な提出書類の整理・準備ガイド
申請には、履歴事項全部証明書や納税証明書(府税と国税の両方)、決算書類など、多くの公的書類が必要です。
- 不足書類のチェック: どの役所でどの書類を取ればよいか、また発行3か月以内といった有効期限の管理を確実に行えます。
- 電子申請の準備: 原則としてオンライン申請のみであるため、必要書類をPDF等のデータで正しく準備するサポートを受けられます。
行政書士はあくまで「要件を満たしているかの確認」や「より採択されやすい計画にするためのアドバイザー」として活用するのが、本事業における賢い付き合い方と言えます。
まとめ
「令和8年度 利益率向上・賃上げ支援事業」は、大阪の企業が物価高に負けない強い経営へと進化するための投資を応援するものです。ただし、従業員をこようしていることや従業員の賃金を上げる宣誓をすることが必要です。
「うちは対象になるかな?」「事業計画書ってどう書けばいい?」など、まずは気軽にお問い合わせください。締め切りまでの時間は令和8年6月26日(金)の17時と限られています。
自分の会社でも使えそうと少しでも感じた方は、まずは特設ページを確認し、申請を検討してみてください。
本記事は令和8年5月19日付の募集要項を元に作成しています。最新情報・詳細は必ず公式の募集要項および特設ページをご確認ください。令和8年度 利益率向上賃上げ支援事業

ℳ/大阪の行政書士補助者
2023年行政書士試験合格
大阪市内事務所に勤務している行政書士補助者です。
取扱業務:在留資格、古物商、宅建業、会社設立
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