古物商許可を取得した後も、ビジネスの成長や生活環境の変化に伴い、様々な変更が生じます。営業所の移転、結婚による姓の変更、取扱品目の追加など、変更内容によって必要な手続きが異なることをご存知でしょうか。
適切な時期に正しい届出を行わないと、10万円以下の罰金が科される可能性があるため、変更が生じた際の対応は極めて重要です。本記事では、古物商許可取得後の変更手続きについて、解説します。

物商許可の変更届とは|基礎知識と重要性
変更届が必要となる理由と法的根拠
古物商許可は、許可を受けた時点での情報(営業所の場所、許可者の氏名、取扱品目など)に基づいて交付されています。これらの情報に変更が生じた場合、公安委員会が古物営業の実態を正確に把握するため、変更届の提出が法律で義務付けられています。
古物営業法では、許可内容に変更があった場合の届出義務が明確に定められており、この義務を怠ると罰則の対象となります。これは盗品の流通防止という古物営業法の目的を達成するため、警察が常に最新の営業状況を把握できる体制を整える必要があるからです。
変更届を提出しないまま営業を続けると、最悪の場合、古物商許可の取消処分を受ける可能性もあります。ビジネスを継続するためにも、変更が生じた際は速やかに適切な手続きを行うことが不可欠です。
3つの届出類型|事前届出・事後届出・書換申請の違い
古物商許可の変更手続きは、変更内容によって大きく3つの類型に分類されます。それぞれ提出期限や必要書類が異なるため、正確に理解することが重要です。
事前届出は、営業所に関する重要な変更を行う場合に必要で、変更の3日前までに提出しなければなりません。営業所の移転や新設、廃止、名称変更などが該当します。これらは営業の根幹に関わる変更であるため、事前に警察が把握する必要があるのです。
事後届出は、事前届出以外の変更事項について、変更後14日以内(法人で登記事項証明書が必要な場合は20日以内)に提出する手続きです。許可者の住所変更や管理者の交代、取扱品目の追加などが該当します。
書換申請は、古物商許可証そのものに記載されている内容が変わる場合に必要で、変更届と併せて提出します。この場合のみ1,500円の手数料が発生します。許可者の氏名変更や住所変更、行商の有無の変更などが対象です。
変更届を怠った場合のリスクと罰則
変更届の提出を怠った場合、古物営業法違反として10万円以下の罰金刑が科される可能性があります。「うっかり忘れていた」「忙しくて手続きできなかった」という理由は通用せず、法律は厳格に適用されます。
さらに深刻なのは、変更届の未提出が悪質と判断された場合、古物商許可の取消処分を受ける可能性があることです。許可が取り消されると、その後5年間は新たな許可を受けることができなくなり、古物営業を行えなくなります。
また、提出期限を過ぎてしまった場合、多くの警察署では「遅延理由書」の提出を求められます。この書類には決まった様式がなく、遅延に至った経緯や理由を詳細に説明する必要があります。正当な理由がない場合、受理を拒否されることもあるため、期限内の提出が極めて重要です。
実務上、変更が生じたらできるだけ早く手続きを開始することをお勧めします。特に住民票や身分証明書などの証明書類は発行から3ヶ月以内という有効期限があるため、計画的な準備が必要です。
営業所に関する変更|事前届出が必要なケース
営業所の移転・新設・廃止の手続き
主たる営業所の変更、営業所の名称、所在地の変更(新設、廃止、移動)をする場合は、営業所を管轄する警察署に、変更する3日前までに変更届出書を提出しなければなりません。
申請場所
現在の営業所を管轄する警察署の生活安全課保安係が窓口です。
2以上の営業所がある場合は、原則として主たる営業所の所在地を管轄する警察署に提出します。
事前届出が必要な場合
- 営業所を移設する
- 営業所を増設する
- 営業所を廃止する
- 営業所の名称を変更する
- 主たる営業所を変更する
手数料及び添付書類は不要です。
営業所名称変更の実務ポイント
営業所の名称変更も事前届出が必要な変更事項です。ビジネスの方向性が変わった場合や、よりブランド力のある名称に変更したい場合などに行われます。
個人事業者の場合、「○○商店」「○○リサイクル」といった屋号を使用することが一般的ですが、本名での営業も可能です。ただし、「○○株式会社」「○○合同会社」など、法人と誤認させるような名称は使用できません。
法人の場合、会社の商号変更に伴って営業所名称も変更するケースが多くあります。この場合、法務局での商号変更登記と併せて、古物商の変更届も忘れずに提出する必要があります。
営業所を新設し、管理者を新たに選任する場合は
営業所を新設する変更届出を変更の3日前までに届け出ます。
その後、14日以内に管理者を新たに選任した届出の提出の2回の届出が必要となります。
許可者・管理者・営業に関する変更|事後届出が必要なケース
営業所に関する事前変更届出以外の事項に変更がある場合は、変更日から14日以内(法人の場合で、登記事項証明書を添付する必要のあるときは、20日以内)に、変更届出書を提出しなければなりません。
申請場所
営業所を管轄する警察署の生活安全課保安係が窓口です。
事後届出が必要な場合
- 引っ越し等に伴う許可者の自宅住所の変更
- 結婚等による許可者の姓名の変更
- 営業所管理者の変更
- 営業所管理者の自宅住所、姓名の変更
- 法人の名称、所在地の変更
- 法人の代表者、役員の就任、退任
- 法人の代表者、役員の自宅住所、姓名の変更
- 行商の「する・しない」の変更
- 取り扱う古物の区分変更
- ホームページを開設・追加・閉鎖
- 届出のURLを変更
変更届出に必要な添付書類
氏名変更・・住民票(「本籍地」が記載されたもので、「個人番号」の記載がないもの)
戸籍謄本(抄本でも可)
住民票のみで変更履歴が確認できる場合は不要
住所変更・・住民票
法人名称、所在地変更・・履歴事項全部証明書
法人役員(代表者含む)の変更・・履歴事項全部証明書
新たに就任した役員については、住民票、身分証明書、略歴書及び誓約書が必要
営業所の管理者交替・・新任した管理者の住民票、身分証明書、略歴書及び誓約書が必要
URL変更・・URLの使用権限が確認できる資料
行商の「する・しない」の変更、取り扱う古物の区分変更は添付書類は不要です。
書換申請
古物商許可証に記載されている内容に変更があった場合、変更届出と合わせて許可証そのものの書換えを申請します。書換申請の場合は、手数料が1500円かかります。
書換申請が必要な事項
- 許可者の氏名又は名称の変更
- 許可者の住所又は居所の変更
- 行商する・しないの変更
- 法人許可の代表者の交替
- 代表者の氏名の変更
- 代表者の住所変更
添付書類は変更届出と同じです。
変更届出・書換申請の手続きの流れ
所轄の警察署の確認: 古物営業を行う営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課に事前に電話で必要な書類や手続きについて確認することをお勧めします。古物商許可申請や・変更届出にはローカルルールがあるため、管轄の警察署によって必要書類が変わってきます。受付は土日不可で平日の夕方までで受付が終了する場合が多いです。
必要書類の準備: 申請の種類に応じて、必要書類を収集します。住民票や身分証明書は有効期限が発行から3か月以内のものが必要です。
窓口での申請: 必要書類一式を揃えて、管轄の警察署の窓口で申請します。書換申請の場合、手数料1,500円が必要です。
古物商許可の変更届出の注意点
営業所の名称・所在地に関する変更内容であれば変更の3日前までの事前届出、それ以外の変更内容であれば原則14日以内の事後届出が必要です。
この期限過ぎた場合、遅延理由書が必要な場合があります。
遅延理由書にはフォーマットがありません。作成については管轄の警察署に相談するか、専門家に依頼することがおすすめです。
個人で取得した古物商許可を、法人として引き継いで使用すること(変更)はできません。新規申請と同じ手順となります。
まとめ
古物商許可取得後の変更届は、ビジネスを合法的に継続するための重要な手続きです。本記事で解説した通り、変更内容によって「事前届出」「事後届出」「書換申請」の3つの類型があり、それぞれ提出期限が異なります。
事前届出は営業所に関する重要な変更について変更の3日前まで、事後届出はそれ以外の変更について変更後14日以内(法人の場合20日以内)、書換申請は許可証記載事項の変更について変更届と併せて提出します。
期限を守らないと10万円以下の罰金や許可取消のリスクがあるため、変更が生じたらすぐに行動を開始することが重要です。特に証明書類には3ヶ月の有効期限があるため、計画的な準備が必要です。
大阪府や兵庫県では、各警察署によって求められる書類が微妙に異なる「ローカルルール」が存在します。手続きを開始する前に、必ず管轄警察署に電話で確認することを強くお勧めします。
時間がない方、手続きが複雑で不安な方は、行政書士への依頼も選択肢の一つです。専門家のサポートを受けることで、確実かつスムーズに変更手続きを完了できます。

