特定技能へスムーズに移行!「特定活動(移行準備)」の完全ガイド

在留資格「特定技能」とは、建設業や、外食産業、介護の分野など、日本の深刻な人手不足産業に即戦力となる外国人材を受け入れるための在留資格制度です。令和7年12月末時点における特定技能在留外国人数は、約39万人にも上ります。

特定技能の申請は他の在留資格と違って、確認事項や要件が多く、いざ手続きを始めてみると書類が揃わない、会社側の準備が追いつかないなど、思わぬところで時間がかかってしまうことが少なくありません。

そこで活用できるのが、特定技能関係の特定活動(「特定技能1号」への移行を希望する場合)という在留資格の制度です。

この記事では、特定技能の手続きが在留期限に間に合わない時に使える「特定活動(移行準備)」という制度の概要概要、要件、必要書類や注意点を、専門知識がない方でもわかるように解説します。

目次

「特定技能」という在留資格とは?基本知識を押さえよう

特定技能制度とは、2019年4月に新しく作られた在留資格です。

創設の背景には、日本の深刻な人手不足があります。少子高齢化が進む日本では、介護・建設・農業・外食など多くの業界で働き手が足りない状況が続いています。こうした状況を改善するために、海外からの即戦力となる人材を受け入れる制度として作られました。

現在受け入れ可能な産業分野は16分野に拡大されています。

分野名主な業務内容の例
1介護身体介護、レクリエーションの実施など
2ビルクリーニング建築物内部の清掃
3工業製品製造業素形材・産業機械・電気電子を統合。加工、溶接、組立など
4建設土木、建築、ライフライン整備など
5造船・舶用工業溶接、塗装、鉄工、仕上げなど
6自動車整備自動車の日常点検、定期点検、分解整備
7航空空港グランドハンドリング、航空機整備
8宿泊フロント、接客、レストランサービスなど
9自動車運送業トラック、バス、タクシーの運転および付随業務
10鉄道運転士、車掌、駅員、車両・施設のメンテナンス
11農業耕種農業(栽培管理)、畜産農業(飼養管理)
12漁業漁業(魚を獲る)、養殖業(育てる)
13飲食料品製造業飲食料品の製造・加工、安全衛生管理
14外食業調理、接客、店舗管理
15林業苗木の植え付け、下刈り、伐採、集材など
16木材産業製材、合板製造、集成材製造な

また、2026年1月の閣議決定により「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」の3分野がさらに追加されることも決まっています。

「1号」と「2号」の違い

特定技能には、スキルのレベルに応じて「1号」と「2号」の2種類があります。

特定技能1号は、「相当程度の知識や経験を持つ人」を対象にした在留資格です。日本に在留できる期間は通算で最大5年という制限があります。働きたい分野の技能試験と日本語試験(またはそれに準ずるもの)に合格することが条件です。まず「特定技能」を目指す多くの方が最初に取得するのがこの1号です。

特定技能2号は、さらに高い熟練したスキルを持つ人向けです。在留期間の上限がなく、更新を続ければ長く日本に住み続けることができます。さらに家族を日本に呼び寄せることも認められています。いわば、日本で長期的にキャリアを築いていく方のための資格です。家族帯同や永住申請が可能になります。

「技能実習」とはどこが違う?

「技能実習」は、日本の技術を学んで母国に持ち帰るという「国際貢献」を目的とした制度です。そのため、原則として途中で会社を変えること(転職)は認められていませんでした。

一方の「特定技能」は、「日本の労働力不足を補う」という目的で作られた制度です。働く人は日本人と同じように、同じ分野内であれば転職することができます。また、給料についても「日本人が同じ仕事をした場合と同等以上」の報酬が義務付けられており、対等な労働条件のもとで働くことが保証されています。

また技能実習制度は2027年以降段階的に廃止され、代わりに育成就労という資格に移行する予定になっています。詳しくは以下の記事をご参照ください。

「特定活動(移行準備)」とは?制度の仕組みと位置づけ

「特定技能1号」に変更を希望で、在留期間満了日までに準備に時間を要する場合には、「特定技能1号」で就労予定の受入れ機関で就労しながら移行のための準備を行うことができるよう特定技能関係の特定活動(「特定技能1号」への移行を希望する場合)への変更申請が可能です。

準備に時間を要する場合とは、書類を揃えることができない、分野別の手続きが未完了である、協議会加入が遅れているなどの理由が該当します。

特定技能外国人を受け入れる全ての受入れ機関は、特定産業分野ごとに分野所管省庁が設置する協議会の構成員になることが求められます。

例えば、建設分野の場合は、国土交通省への「建設特定技能受入計画」の認定申請が必要です。この認定には審査期間が必要で、結果が出るまでの間は特定技能の申請に進めません。

こうした「申請には数か月の時間を要し、申請は出しているが、まだ認定・承認が下りていない」という待機期間中に、特定活動を利用するケースが多くあります。

初めて特定技能外国人を受け入れる会社では、社内ルールの整備や支援体制の構築、関係機関との調整に想定以上の時間がかかることがあります。

本人はすでに試験に合格しているものの、会社側の受け入れ準備が整っていないために申請が遅れているような場合も、「受入れ機関において特定技能1号への変更申請を予定している」ことを条件として、この特定活動への変更が認められます。

ただし、「特定活動(6月・就労可)」で在留中に、受入れ機関の変更(転職)により、改めて「特定活動(6月・就労可)」への変更申請を行うことは、やむを得ない事情(申請人の責めに帰すべき事由によらずに、従前の受入れ機関での就労が困難となり、申請人が受入れ機関を変更することを希望するような場合)がある場合を除き、原則認められません。

また、特定活動で過ごした期間は、特定技能1号として働ける通算5年の期間から差し引かれます。「準備期間だから時間は関係ない」という認識は間違いです。1日でも早く特定技能1号へ移行することが、長く日本で活躍するためのコツです。

許可を得るために必要な要件(審査でチェックされること)


特定活動(移行準備)を申請しても、すべての方が許可を受けられるわけではありません。入管庁が定める要件を満たしていることが必要です。

① 試験合格または技能実習2号の良好な修了

最も基本的な条件として、申請時点で以下のどちらかを満たしている必要があります。

①特定技能1号に必要な技能試験と日本語試験の両方に合格していること

②技能実習2号を「良好に修了」していること

②場合は試験が免除されます。ただし、技能実習とは異なる分野の特定技能に移行する場合は、試験が別途必要になります。

まだ試験に合格していない方は、この特定活動の申請資格がありません。試験の準備と在留期限の管理を並行して進めることが大切です。なお、各試験の合格前に内定を出すことは禁止されていません。

②「特定技能1号」として在留していた通算在留期間が4年6月以下である。

「本特定活動への在留資格変更許可申請は、「特定技能1号」として在留していた通算在留期間が4年6月を超える方は対象となりません。1号の満了が5年が上限とされているためです。

入管庁は、この特定活動への申請を行う際に特定技能1号として在留できる残りの通算期間が8ヶ月以上あることを推奨しています。在留期限が迫ってから慌てて動くのではなく、早い段階から準備状況を把握し、必要であれば専門家に相談することが大切です。

③「特定技能として働く場合と同等の給与」であること

特定活動(移行準備)として働く期間も、給与の基準は特定技能と同じレベルが求められます。

具体的には、①特定技能1号として採用された場合に支払われる予定の給与と同額であること、②日本人が同じ業務を行った場合と同等以上の給与であること、の2つの条件を同時に満たす必要があります。

「準備期間だから仮払いでいい」「研修扱いにして安くする」といったことは認められません。雇用契約書と説明書の内容が審査で厳しく確認されます。

申請に必要な書類と手続きの流れ

在留資格変更許可申請に必要な書類は以下の通りです。

①在留資格変更許可申請書

②写真
③パスポートおよび在留カード

④変更申請が困難な理由を説明する「説明書」(後述)
⑤雇用契約書・雇用条件書の写し(給与額が明確に記載されたもの)

⑥技能試験および日本語試験の合格証明書又は、技能実習2号良好修了者等の試験免除であることを証明する資料

⑦他の手続中であることを明らかにする書類

  • 例:建設分野における建設特定技能受入計画認定申請中であることを証する以下のいずれかの書類
    •  建設特定技能受入計画の申請者メニュー画面の写し
    •  申請後に受信した申請日及び申請番号が記載された地方整備局からのメールの写し
  • 例:協議会加入申請中であることを証する書類
    •  工業製品製造業分野においては、ポータルサイト上で入会申請をしていることがわかる画面(申請番号の表示があるもの)の写し

変更申請が困難な理由を説明する説明書とは

この説明書には、「なぜ特定技能1号への在留資格変更許可申請を在留期間の満了日までに行うことが困難なのか」という合理的な理由を具体的に記載します。受入れ機関が作成した説明書

記載例としては次のようなものが考えられます。「国土交通省への建設特定技能受入計画の認定申請中であり、認定が下りるまでに数ヶ月を要するため」や「本人の出身国から必要な書類を取り寄せる手続きに時間を要しているため」などです。

ここに虚偽の内容を記入することは絶対にやめてください。入管法に基づき、虚偽申請が発覚した場合は在留資格の取り消しの対象となります。

業種別の追加書類


自動車運送業分野の場合、日本の有効な自動車運転免許証の写しが必要です(トラック等の場合は第一種大型免許、タクシー・バス等の場合は第二種免許が必要です。

「在留資格の取消し」というリスク

以下のような行為が判明した場合、現在持っている在留資格が取り消される可能性があります。

– 申請書類に虚偽の内容を記載した場合
– 許可された活動(特定の会社での就労)を行わず、別の場所で働いていた場合
– 本来の在留資格に基づく活動をまったく行っていない場合

在留資格が取り消されると、原則として30日以内に日本を出国しなければならず、一定期間の再入国禁止措置も科されます。

また、この特定活動の期間中に「給料がいい他の会社で働きたい」という理由で無断で転職することも認められません。やむを得ない事情(会社が倒産したなど、本人の責任ではない理由)がある場合は除きますが、個人の都合による転職は原則禁止です。ルールの範囲内で、真剣に移行準備を進めることが求められます。

特定技能の特定活動を行政書士に依頼するメリット

「特定技能1号」への移行を前提とした「特定活動」の申請は、技能実習の修了後や試験合格後にスムーズに就労を開始するための重要なつなぎの期間です。

この手続きを行政書士に依頼するメリットは、単なる「書類作成の代行」以上に、不許可リスクの回避と企業のコンプライアンス維持にあります。

1. 不許可リスクの低減

特定技能への移行に伴う特定活動は、1号への移行が確実に見込まれることや1号と同じ条件での雇用契約など、細かい要件が厳格にチェックされます。行政書士は入管が重視するポイントを熟知しているため、整合性の取れた書類を作成することが可能です。

2. 最新の法改正・制度変更への即時対応

特定技能制度は2024年の分野追加やなど、ルール変更が非常に頻繁です。自社で調べると古い情報を参照してしまうリスクがありますが、プロに依頼すれば最新の基準で申請が行えます。

3. 人事・採用担当者の負担軽減(本業への集中)

特定技能の手続きは、企業側・外国人本人側合わせて数十枚の書類が必要になります。 役所での書類収集、煩雑な申請書の作成、入管への出頭(申請取次)をすべて任せられるため、担当者は現場本来の業務に専念できます。

4. 法的リスクの事前検知(コンプライアンスの守護)

「特定活動」期間中の給与支払いや社会保険、従事する業務内容が1号の基準とズレていると、後の1号申請が不許可になるだけでなく、企業側が不法就労助長罪に問われるリスクもあります。 行政書士が介在することで、ヒアリングを通じて「気づかないうちの法令違反」を事前に見つけることが可能です。

当事務所では大阪府や兵庫県・奈良県などの関西を中心に、許認可申請や外国人の方の在留資格、会社設立などのサポートをおこなっています。「申請をしたいけど要件が分からず通るか不安」「申請に行く時間がない」などのお悩みがあれば全面的にサポートいたします。小さなことでも何かあればお気軽にお問い合わせください。

無料相談・お問い合わせはこちらから

まとめ:「特定活動(移行準備)」を上手に活用するために

「特定活動(移行準備)」は、特定技能への切り替えをサポートしてくれる制度です。

入管庁は、この特定活動への申請を行う際に「特定技能1号として在留できる残りの通算期間が8ヶ月以上あること」を推奨しています。在留期限が迫ってから慌てて動くのではなく、早い段階から準備状況を把握し、必要であれば専門家に相談することが大切です。

また、最近は審査が混み合っており、許可が下りるまでに時間がかかっています。在留期限ギリギリに申請するのは非常にリスクが高いです。「在留期限の2〜3ヶ月前には申請できている状態」を目指しましょう。

「手続きのことがよくわからない」「自分のケースが要件に当てはまるか確認したい」と感じたら、行政書士などの専門家に早めに相談することを強くおすすめします。正しい知識と早めの準備が、日本での安心した暮らしと充実したキャリアにつながります。


参考
> – 出入国在留管理庁「特定技能関係の特定活動(特定技能1号への移行を希望する場合)」
> – 出入国在留管理庁「特定技能制度」
制度は改正される場合がありますので、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
 

ℳ/大阪の行政書士補助者

2023年行政書士試験合格

大阪市内事務所に勤務している行政書士補助者です。

取扱業務:在留資格、古物商、宅建業、会社設立

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