大阪市中央区の行政書士事務所で勤務していますℳです。
「大阪で飲食店をオープンしたいけれど、保健所の手続きはどうすればいい?」「検査で落ちたらどうしよう」と不安に思っていませんか?
飲食店の開業で必要不可欠な手続きが「飲食店営業許可」の取得です。しかし、多くの開業者がこの手続きで躓き、オープン日の延期や想定外の改修工事という痛手を負っています。実は、飲食店営業許可の取得で失敗する原因の9割は事前準備不足なのです。
以前の記事で、大阪府で飲食店を開業しようとしている方向けに、施設の要件、申請先を解説しました。

飲食店を開業するには、店舗の所在地を管轄する保健所から「飲食店営業許可」を受ける必要があります。 今回は、大阪府内(大阪市・守口市など)で飲食店を始める方向けに、申請の流れや費用、店舗調査でチェックされるポイントを実務担当者が、プロの視点で分かりやすく解説します。
飲食店営業許可の本質と法的要件を理解する
飲食店営業許可は単なる形式的な手続きではありません。食品衛生法に基づく公衆衛生の保護という重要な目的があります。
食品衛生法が求める営業許可制度の意義
飲食店営業許可は、食品衛生法に基づき、飲食店を営業する者に義務付けられた法的手続きです。この制度の目的は、飲食による健康被害を防止し、公衆衛生を確保することにあります。
法律では、飲食店営業を含む特定の食品営業を行う場合、施設ごとに都道府県知事(保健所設置市では市長)の許可を受けなければならないと定められています。無許可で営業すると、営業停止命令や刑事罰の対象となる重大な違法行為です。
この許可制度により、消費者は安全な食事を提供する店舗であることが保証されます。逆に言えば、許可を取得することで、あなたの店舗は「公的にお墨付きをもらった信頼できる飲食店」として認められることになるのです。
開業者にとって営業許可は面倒な手続きに感じるかもしれませんが、顧客の信頼を得るための最初の関門であり、ビジネスの基盤を固める重要なプロセスと捉えるべきでしょう。
許可が必要な業態と不要な業態の境界線
すべての飲食業が営業許可を必要とするわけではありません。業態によって必要な許可の種類が異なり、場合によっては複数の許可が必要になることもあります。
飲食店営業許可が必要なのは、客に飲食させる営業を行う場合です。レストラン、カフェ、居酒屋、バー、焼肉店、ラーメン店など、店内で調理した料理を提供する業態はすべて該当します。
一方、テイクアウト専門店やデリバリー専門店で店内飲食をさせない場合は、「飲食店営業」ではなく「食品製造業」や「菓子製造業」などの許可が必要になる場合があります。また、喫茶店で軽食のみを提供する場合は「喫茶店営業」で済む場合もあります。
さらに注意が必要なのは、深夜0時以降に酒類をメインで提供する業態です。この場合、飲食店営業許可に加えて、警察署への「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」が必要になります。両方の手続きを忘れずに行わなければ、合法的に営業できません。
自分の業態がどの許可に該当するのか不明な場合は、保健所や行政書士に相談することで、正確な情報を得られます。
申請から営業許可までの5ステップ
飲食店営業許可は無計画に進めると、内装工事が終わったのに許可が下りないというトラブルになりかねません。以下の流れをチェックしておきましょう。
① 保健所への事前相談(着工前がベスト)
飲食店営業許可取得で最も重要なのが、内装工事着工前の保健所への事前相談です。この段階を軽視すると、工事完了後に「基準を満たしていない」と判明し、高額な改修費用が発生するリスクがあります。
事前相談では、店舗の設計図面(平面図、設備配置図)を持参し、保健所の担当者に施設基準を満たしているか確認してもらいます。この時点で手洗い場の位置、シンクのサイズ、冷蔵庫の配置、調理場と客席の区画方法などについて具体的な指導を受けられます。
保健所によっては予約制の場合もあります。事前に電話で確認し、必要な図面の種類や相談可能な日時を聞いておきましょう。
事前相談は何度でも無料で受けられます。図面が変更になった場合や、疑問点が出てきた場合は、遠慮せず再度相談に行くことをお勧めします。
② 食品衛生責任者の確保
飲食店を営業する場合、施設後ごとに1名、専任の食品衛生管理者を置かなければなりません。(食品衛生法第48条)
食品衛生責任者は店舗の責任者以外でもなることができます。
【無試験で責任者になれる方】
以下の資格をお持ちの方は、講習を受けずにそのまま責任者になることが可能です。
調理師、栄養士、製菓衛生師
医師、歯科医師、薬剤師、獣医師
大学等で医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学、農芸化学の課程を修めて卒業した方
【資格がない場合:養成講習会の受講】
上記の資格を持っていない方は、各自治体の食品衛生協会が実施する食品衛生責任者、養成講習会を修了することで食品衛生管理者の資格を取得することができます。
受講資格: 義務教育を修了した未成年や、日本語が理解できる外国人の方も受講可能です。
受講方法: 大阪府内の場合、「公益社団法人大阪食品衛生協会」が実施する講習を受けます。現在は会場での対面受講とeラーニング(オンライン講習)の2種類から選べます。
注意点: 申し込み期限や定員があるため、オープン予定日に余裕を持って予約しましょう。
③申請書類の作成・提出
食品衛生責任者の確保と施設の準備が整ったら、開店日の2~3週間前を目安に書類を管轄の保健所に提出します。
書類提出時に、保健所の担当者が実際に店舗へ来て設備をチェックする調査の日程を調整します。
必要書類
営業許可申請書
営業設備の図面
食品衛生責任者の資格を証明するもの
登記事項証明書(法人の場合)
水質検査成績書(貯水槽や井戸水を使う場合)
ふぐ処理登録者証(ふぐの処理を行う場合)
手数料(大阪市、堺市、高槻市など多くの市で新規申請は 16,000円、更新は12,800円)
④保健所による店舗調査
申請から数日後、保健所の担当者が実際に店舗を訪れて実地検査を行います。この検査では、申請書類と図面の通りに設備が設置されているか、衛生基準を満たしているかを細かくチェックされます。
⑤営業許可証の交付・営業開始
検査に合格すると、数日〜1週間程度で営業許可証が発行されます。これで晴れてオープンとなります。
許可証は店内の見えやすい場所に掲示します。
営業許可には期限が定められています。許可証記載の許可満了日を確認しておき引き続き営業される場合は、許可満了日までに、更新の手続が必要です。
飲食店の開業により、消防用設備等の設置や防火管理者の選任が必要になる場合があります。
深夜12時以降にお酒をメインで提供する場合、深夜酒類提供飲食店営業届を管轄警察署に提出が必要です。
店舗調査で必ずチェックされるポイント
保健所の実地検査は、飲食店営業許可取得の最大の関門です。ここでは、大阪府守口市での実際の検査事例をもとに、チェックされるポイントを解説します。チェックされた項目は以下になります。
検査当日に慌てないよう、以下の設備基準を必ずクリアしておきましょう。
手洗い場: 調理場内に専用の手洗い場があり、水栓が「L字型レバー」や「センサー式」であること。従来型のハンドル式蛇口は、洗った手でハンドルを触ることで再汚染の恐れがあるため、ほとんどの保健所で不可とされています。
洗浄設備:熱湯を供給できること。
二槽シンク: 食器や器具を洗うためのシンクが2つ以上あること。
排水設備:調理場に排水口があること。
食器棚: 扉が付いており、ホコリが入らない構造であること。閉店後、食器がすべて食器棚で保存ができること。
冷蔵庫の温度計: 扉ごとに1つ温度計があること。
仕切り: 調理場と客席が、のれんなどで明確に仕切られていること。
床・壁: 清掃しやすい材質(タイルやステンレスなど)であること。
ゴミ箱: 蓋付きのものが備え付けられていること。
便所:専用の手洗い設備があること。
よくある質問(FAQ)
Q. 居抜き物件なら、そのままの設備で許可が取れますか?
A. 居抜き物件は初期費用を抑えられるメリットがありますが、飲食店営業許可の観点では注意が必要です。前のオーナーが許可を取っていても、現在の基準に適合していない場合があります。事前に図面を持って保健所へ相談しましょう。また、前の店舗が「喫茶店営業」だった場合、「飲食店営業」の基準とは異なるため、設備の追加や改修が必要になることがあります。業態が変われば必要な設備も変わるのです。
Q. 申請から許可までどれくらい時間がかかりますか?
A.飲食店営業許可の申請から許可証交付までには、通常2〜3週間かかります。申請書類の準備、実地検査の日程調整、検査後の書類審査などに時間がかかるためです。繁忙期(年度末や大型連休前)はさらに時間がかかる場合があります。理想的なスケジュールは、開業予定日の3〜4か月前から準備を開始することです。具体的には、3か月前に保健所への事前相談、2か月前に食品衛生責任者講習の受講、1か月前に内装工事完了と申請書類提出、2週間前に実地検査、開業直前に許可証交付という流れです。スケジュールに余裕を持たせ、予期せぬトラブル(工事の遅延、書類の不備など)にも対応できるようにしておくことが、確実な開業への道です。
Q. 深夜12時以降もお酒を出したいのですが?
A. 深夜0時以降に酒類をメインで提供する営業(バー、スナック、居酒屋の深夜営業など)を行う場合、「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」を管轄警察署の生活安全課に提出する必要があります。
この届出は、飲食店営業許可とは別の手続きで、警察署が窓口となります。届出には、飲食店営業許可証のコピーが必要なため、保健所の許可を取得した後に警察署に届け出る流れになります。
届出には、営業所の図面、メニュー表、周辺住民への説明書など、多くの書類が必要です。また、営業所が住居地域にある場合や、学校・病院の近隣にある場合は、届出が受理されない可能性もあります。
深夜営業を計画している場合は、物件選定の段階で警察署に相談し、その場所で深夜営業が可能かを確認しておくことが重要です。契約後に「この場所では深夜営業できません」と言われても、手遅れです。
また、収容人数が30人を超える飲食店を開業する場合、消防法に基づく防火管理者の選任と、消防計画の作成・提出が必要になります。こちらは消防署への届出となります。
行政書士に依頼するメリット
ご飲食店営業許可の申請は自分で行うことも可能ですが、行政書士に依頼することで得られるメリットは、単なる「手間の削減」を超えた戦略的価値があります。
開業準備に集中できる時間的価値
飲食店の開業準備では、やるべきことが山積みです。メニュー開発、スタッフ採用、仕入れ先の開拓、内装デザインの決定、広告宣伝の計画など、経営者としての重要な意思決定が次々と求められます。
この貴重な時間を、保健所への書類作成や何度も足を運ぶことに使うのは、機会費用の観点から非常にもったいないといえます。特に初めての開業者にとって、申請書類の書き方や図面の作成方法を調べることに数日を費やすことは、本来の開業準備を圧迫します。
行政書士に依頼すれば、書類作成、保健所との事前相談、申請手続き、実地検査の立ち会いまで、すべて代行してもらえます。あなたは「この設備でいいですか?」という確認に答えるだけで、後は本業の準備に専念できます。
特に会社勤めをしながら開業準備を進めている方や、遠方から大阪に出店する方にとって、平日の日中に何度も保健所に行くことは困難です。行政書士への依頼により、この時間的制約から解放されます。
検査落ちのリスクをゼロにする専門知識
飲食店営業許可の実地検査で不合格になると、設備の改修が必要になり、数万円から数十万円の追加費用が発生します。さらに、開業日の延期により、予約していた客へのキャンセル連絡、広告費の無駄、スタッフの給与など、金銭的損失は計り知れません。
行政書士は、各保健所の運用ルールや指導基準を熟知しています。大阪市と守口市では二槽シンクのサイズ基準が微妙に異なる、A保健所ではのれんで可だがB保健所では扉が必要、といった細かなローカルルールを把握しているのです。
事前に図面をチェックし、「この設備では検査に通らない可能性があります」と指摘することで、工事着工前に問題を解決できます。工事後に「やり直し」となるリスクをゼロにできることは、金銭的にも精神的にも大きなメリットです。
また、行政書士は保健所の担当者との折衝にも慣れています。実地検査の際、担当者の指摘に対してその場で適切な対応策を提案したり、代替案を交渉したりすることで、スムーズな許可取得につなげます。
総合的な開業サポートによる成功確率の向上
行政書士の価値は、飲食店営業許可の取得だけにとどまりません。開業に関連する他の許認可や法務手続きについても、ワンストップで相談・依頼できることが大きなメリットです。
例えば、法人を設立して飲食店を開業する場合、会社設立登記(司法書士と連携)、税務署への開業届、社会保険の加入手続きなど、複数の手続きが発生します。これらを個別に専門家に依頼するよりも、トータルコーディネートしてもらう方が効率的です。
外国籍の方が飲食店を開業する場合、在留資格の変更(技術・人文知識・国際業務から経営・管理への変更)が必要になることがあります。行政書士は入管業務の専門家でもあるため、営業許可と在留資格の両方をサポートできます。
また、創業融資(日本政策金融公庫の新創業融資制度など)を受ける際の事業計画書作成支援や、各種補助金(小規模事業者持続化補助金、事業再構築補助金など)の申請サポートも行っています。
開業時の法務リスクを総合的に管理し、「知らなかった」「気づかなかった」というミスを防ぐことで、ビジネスの成功確率を高めることができるのです。
まとめ
飲食店をオープンさせるためには、保健所から「飲食店営業許可」を受ける必要があります。施設の要件は細かくあり工事着手前の保健所への事前確認がおすすめです。また、施設の図面などの書類作成も必要であり、多くの時間が必要になるので行政書士に依頼した方がスムーズに営業を始められます。
「自分の物件で許可が取れるか不安」「忙しくて手続きに行く時間がない」という方は、お気軽にご相談ください。


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