日本で暮らす外国人の方にとって、「永住者」の在留資格は、自由度の高いステータスといえます。この資格を取得すると、在留期間の更新手続きが不要になり、コストが抑えられます。
通常の就労ビザでは、「技術・人文知識・国際業務」なら該当する業務のみ、「経営・管理」なら経営活動のみと、活動範囲が限定されています。しかし永住者になれば、こうした制約から解放されます。活動内容にも制限がなくなります。日本人と同じように、どのような職業に就くことも可能で、転職や起業も自由に行えることができます。
そんな在留資格「永住者」の許可要件に、政府は日本語能力を追加する方向で検討していることが判明しました。
今回は現行の永住許可の許可要件の概要や、新たに追加される日本語要件の詳細について解説していきます。

永住ビザとは?他の在留資格との決定的な違いとは
永住申請とは
在留資格を有する外国人で、在留資格の変更を希望する者又は出生等により在留資格の取得を希望する外国人が、永住者の在留資格への変更又は永住者の在留資格の取得を希望する場合に行う申請です。
永住許可を受けた外国人は、「永住者」の在留資格により日本に在留することになります。在留資格「永住者」は、在留活動、在留期間のいずれも制限されないという点で、他の在留資格と比べて大幅に在留管理が緩和されます。
「永住者」の在留資格を希望して、日本に入国することはできません。適正な在留資格を取得して必要期間日本に在留したのち、要件を満たせば「永住者」の申請ができます。「永住者」は在留期限がないことや、職種の制限がされないといったメリットがあります。
永住ビザを持つことで得られる具体的なメリットは多岐にわたります。まず、住宅ローンやクレジットカードの審査が通りやすくなります。金融機関は在留期間の長さを重視するため、期限のない永住資格は信用の証明になるのです。
また、配偶者や子どもの在留資格にも好影響があります。永住者の家族は「永住者の配偶者等」として、比較的容易に在留資格を得られます。さらに、失業時も在留資格を失う心配がないため、心理的な安心感が大きく異なります
永住ビザと帰化の違いとは?
「永住ビザ」と混同されやすいのが「帰化」です。帰化は日本国籍を取得することで、外国籍を放棄する必要があります。「帰化」=日本人になるということです。
一方、永住ビザは外国籍のまま日本に永続的に住む権利を得る制度です。
選挙権や被選挙権は帰化によってのみ得られ、公務員の職に就くことができますビザの更新や変更の手間がなくなり、不法残留の心配もなくなります。一方、母国によっては、日本人が入国する際にビザが必要な国があります。また、母国での滞在期間に制限が出ることもあります。
母国との繋がりを保ちたい方、二重国籍が認められない国籍の方にとって、永住ビザは理想的な選択肢となります。ただし、永住許可は法務大臣の裁量行為であり、在留資格の取消しや退去強制の対象となる可能性は残ります。
現行の永住許可の法律上の要件
(1)素行が善良であること
素行が善良であることは、日常生活における信頼性を見られ、永住許可の基本的な要件です。これは単に犯罪歴がないだけでなく、社会人としての責任を果たしているかを総合的に判断されます。
具体的には、交通違反の回数や内容、飲酒運転などの重大な違反がないか、近隣住民とのトラブルがないかなどが審査対象となります。また、税金や社会保険料の納付状況も厳しくチェックされます。「期限通りに支払っていたか」という納付期限の遵守が非常に厳しくチェックされます。現在は完納していても、過去に滞納(期限を過ぎた支払い)があると、原則として不許可になる可能性が高いのが現状です。
(2)生計要件
独立した生計を営む能力があることも重要な要件です。単身者の場合、年収300万円程度が一つの目安とされていますが、家族構成や地域によって判断は異なります。
重要なのは、公的扶助に頼らず安定した収入を得ていることです。正社員である必要はなく、自営業や複数のパート・アルバイトでも、収入が安定していれば問題ありません。また、配偶者の収入を合算して判断されるケースもあります。預貯金や不動産などの資産も、将来の安定性を示す材料として考慮されます。
(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
引き続き10年以上本邦に在留していること。この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることが必要です。
罰金刑や拘禁刑などを受けていないこと。公的義務を適正に履行していること。
現に有している在留資格について、最長の在留期間をもって在留していること。(現在要件だと「3年」または「5年」の在留期間)
公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
※ 日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、(1)及び(2)に適合することを要しないとされています。
原則10年在留に関する特例
永住許可要件には、「引き続き10年以上本邦に在留していること」の要件がありますが、期間が短縮される特例があります。主な特例は以下になります。
日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、
引き続き1年以上本邦に在留していること。その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留していること。
「定住者」の在留資格で5年以上継続して本邦に在留していること。
在留資格「高度専門職」で70点以上を3年以上継続して本邦に在留していること。
在留資格「高度専門職」で80点以上を1年以上継続して本邦に在留していること。
2027年度導入予定の日本語能力要件の詳細
上記の現行要件に加えて、日本語能力を追加する方向で、政府が検討していることが判明しました。
なぜ今、日本語要件が追加されるのか
政府が永住許可に日本語能力要件を追加する背景には、外国人住民と地域社会の共生促進という目的があります。日本語能力は、地域コミュニティとの円滑なコミュニケーション、緊急時の情報取得、子どもの教育への関与など、生活の質を左右する重要な要素です。
近年、永住者の増加に伴い、言葉の壁が原因でトラブルが発生するケースも報告されています。ゴミ出しルールの理解不足、自治会活動への参加困難、災害時の情報伝達の問題など、日本語能力不足が地域社会との摩擦を生む要因となっているのです。
どの程度の日本語要件が必要?
具体的な日本語レベルはまだ確定していませんが、帰化申請で求められる日本語能力試験(JLPT)N4~3レベル、またはそれ以上になる可能性が高いと考えられます。N4レベルは「基本的な日本語を理解できる」段階で、日常的な会話や簡単な文章の読み書きができるレベルです。N3だと、「日常的な場面で使われるある程度日本語を理解できる」レベルになり、小学校3年生程度の日本語レベルになります。
試験の種類としては、JLPTのほか、日本語NAT-TEST、J.TEST、BJTビジネス日本語能力テストなども認められる可能性があります。永住を視野に入れている方は、今からこれらの試験対策を始めることをお勧めします。
永住申請の審査が厳格化している現状
経営・管理ビザの厳格化から見える傾向
2025年10月16日から、「経営・管理」ビザの要件が大幅に厳格化されました。「経営・管理」でも、申請者または従業員のいずれか1人が、相当程度の日本語能力を有することが必要になります。求められる日本語能力は、B2(N2)相当以上です。
「経営・管理」ビザは事業の実態をより詳細に証明する必要が生じ、単なる書類上の会社設立だけでは認められにくくなっています。
この動きは永住許可審査にも影響を及ぼしています。申請書類の精査が細かくなり、面接が実施されるケースも増えています。特に、事業を営んでいる方の永住申請では、事業の継続性や社会的貢献度まで問われる傾向にあります。
審査期間の長期化と対策
以前は4~6ヶ月程度だった永住許可の審査期間が、現在は8~12ヶ月、場合によってはそれ以上かかるケースも珍しくありません。永住申請の国の地方出入国在留管理局における在留審査処理期間の平均日数は、313.8日です。(令和7年4月データ)申請件数の増加と審査の厳格化が主な理由です。
審査期間中も現在の在留資格で滞在できますが、転職や海外出張の予定がある方は計画的に申請する必要があります。また、追加資料の提出を求められることも多いため、初回申請時に可能な限り完璧な書類を準備することが重要です。
不許可になりやすいケースと注意点
永住申請が不許可となる主な理由には、納税義務の不履行、交通違反の多さ、収入の不安定さ、在留期間の中断などがあります。特に見落としがちなのが、配偶者の扶養に入っている場合の世帯収入の考え方です。
また、申請直前に転職したケースや、フリーランスとして活動を始めたばかりのケースでは、収入の安定性を疑問視されることがあります。申請のタイミングは慎重に検討すべきでしょう。不許可になった場合でも再申請は可能ですが、不許可理由を解消してから申請することが重要です。
永住申請を成功させるための実践的アドバイス
今すぐ始めるべき準備リスト
永住申請を検討している方は、今日から準備を始めましょう。まず、納税証明書や課税証明書を取得し、過去5年分の納税状況を確認してください。交通違反の記録も確認します。軽微な違反でも回数が多いと不利になります。また、健康保険や年金の加入・納付状況も重要です。国民健康保険料や国民年金保険料の未納がないか、勤務先の社会保険に適切に加入しているか確認してください。
必要書類の準備と申請のベストタイミング
永住申請には膨大な書類が必要です。身分関係を証明する書類、職歴を示す書類、収入・納税を証明する書類、居住を証明する書類などを漏れなく準備する必要があります。
特に重要なのは申請のタイミングです。2027年度に日本語要件が追加される見込みのため、現在の要件を満たしている方は、2026年度中の申請を検討する価値があります。ただし、要件を満たしていない状態での拙速な申請は逆効果です。十分な準備が整ってから申請しましょう。
専門家への相談が必要なケースとは
永住申請は自分でも可能ですが、専門家のサポートを受けるべきケースもあります。過去に在留資格の変更が複数回ある方、離婚や転職の経験がある方、自営業や会社経営者の方は、申請戦略の立て方が複雑になります。
また、過去に税金の滞納があった方、交通違反の回数が多い方、長期の海外出張が多い方なども、個別事情を専門家に相談することで許可の可能性を高められます。行政書士や弁護士に相談する費用は発生しますが、不許可のリスクを減らし、時間を節約できる価値は大きいでしょう。
行政書士に依頼するメリット
複雑な書類作成を正確かつ効率的に
永住申請の書類は多岐にわたり、一つでも不備があれば審査が遅れたり、最悪の場合不許可となることもあります。行政書士は入管業務の専門家として、必要書類のリストアップから作成、取得まで一貫してサポートします。
特に申請理由書は、あなたの在留歴や家族構成、職歴などを整理し、なぜ永住が妥当なのかを論理的に説明する重要な書類です。行政書士は数多くの申請実績から、審査官に伝わる効果的な書き方を熟知しています。また、外国語の書類がある場合の翻訳対応や、母国から取り寄せる書類の要件確認なども的確にアドバイスできます。
最新の審査傾向を踏まえた申請戦略
入管の審査基準や運用は、法改正や社会情勢によって常に変化しています。行政書士は日々の実務を通じて最新の審査動向を把握しており、どのような資料を添付すれば説得力が増すか、どのタイミングで申請すべきかなど、戦略的なアドバイスが可能です。
例えば、2025年の経営・管理ビザ厳格化以降、永住申請でも事業の実態証明が重視されています。こうした変化をリアルタイムで把握し、あなたのケースに最適な対策を提案できるのが行政書士の強みです。特に2027年の日本語要件導入前に申請を完了させたい方にとって、タイミングの判断は専門家の知見が不可欠といえるでしょう。
不利な条件でも許可を得るためのサポート
完璧な申請者ばかりではありません。過去に納税の遅れがあった、交通違反が複数回ある、転職回数が多い、離婚歴があるなど、不利に働きかねない事情を抱えている方も少なくないでしょう。
行政書士は、こうした不利な条件をどう説明すれば理解を得られるか、どのような補強資料を用意すべきかを具体的にアドバイスします。例えば、納税の遅れがあった場合は、その理由と現在の改善状況を丁寧に説明し、完納証明書や継続的な納付実績を示すことで信頼回復を図ります。専門家の適切なフォローにより、単独申請では難しいケースでも許可を得られる可能性が高まるのです。
まとめ
永住許可制度は、外国人と日本社会の共生を実現するための重要な制度です。2027年度からの日本語能力要件追加は、この共生をより確実なものにするための施策といえるでしょう。
現在の要件を満たしている方にとって、制度変更前の申請は大きなメリットがあります。一方で、準備が不十分なまま急いで申請することは避けるべきです。ご自身の状況を冷静に分析し、必要であれば専門家の助言を受けながら、計画的に永住への道を進んでいきましょう。新制度が始まると、日本語試験の準備や証明書類の負担が増え、申請のハードルが上がります。
日本での永住は、単なる在留資格の変更ではなく、この国で長く生活し、社会に貢献していくという決意の表れです。しっかりと準備を整える必要があります。
当事務所では、大阪府・兵庫県・奈良県を中心に、国際業務・在留資格申請のサポートを行っております。初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
「忙しくて手続きに行く時間がない」「書類の書き方がわからない」などの永住申請に関する疑問や不安がある方は、お気軽にご相談ください。あなたの状況に合わせた最適なアドバイスをご提供いたします。


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