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【日本版DBS】2026年スタート「こども性暴力防止法」とは?学習塾・スポーツクラブが今すぐ知っておくべき準備のすべて

こどもたちの安全を守るための新しい仕組み、こども性暴力防止法」が2024年(令和6年)6月に成立しました。この法律は、教育や保育の現場でこどもへの性暴力を防ぎ、心と体を守るために作られたものです。

特に、民間の学習塾やスポーツクラブにとっては、この制度を正しく理解し、「認定」を受けることが、これからの教室運営における信頼の証となります。この記事では、「こども性暴力防止法」とその柱となる「日本版DBS」について解説します。

目次

こども性暴力防止法とは?なぜ今、この法律が必要なのか?

背景と目的|急増する被害と社会の要請

令和4年のデータでは、20歳未満のこどもが被害者となる性犯罪(不同意性交等や不同意わいせつ)の認知件数は2,776件にのぼり、前年より増加しています。また、児童ポルノ事犯の被害者も増え続けており、教育・保育の場での安全確保が急務となっています。こうした背景から、加害者となる恐れがある人をこどもに接する仕事から遠ざける仕組みが必要となりました。これまでは、学校や塾などが採用時に個人の犯罪歴を勝手に調べることは「プライバシー保護」の観点から難しく、性犯罪を繰り返す人が職場を転々として再び被害が起きてしまうという課題がありました。この法律は、「こどもの安全を守る権利」優先させるという大きな転換点となっています。

2024年(令和6年)6月「こども性暴力防止法」が成立

令和3年に政府は、教育・保育施設等やこどもが活動する場等において働く際に性犯罪歴等についての証明を求める仕組み(日本版DBS)の導入に向けた検討を進めることを政府文書として初めて明記しました。そして、教育・保育などのこどもに接する場での、こどもへの性暴力を防ぎ、こどもの心と身体を守るため、2024年(令和6年)6月「こども性暴力防止法」の(正式名称:「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」)が成立しました。この法律で定められた取り組みは、2026年(令和8年)12月25日に施行します。

日本版DBS」と呼ばれる仕組みの正体

この法律は、通称「日本版DBS」とも呼ばれます。イギリスの制度(Disclosure and Barring Service)をモデルにしたもので、日本語では「前科照会システム」などと訳されます。こどもと接する仕事に就こうとする人に「性犯罪歴がないか」を国が確認する仕組みです。これにより、過去に過ちを犯した人が再びこどもを傷つけるリスクを未然に防ぎます。

こども性暴力防止法の概要

こども性暴力防止法の「制度趣旨」とは?

児童等に教育・保育等を提供する事業者(学校や学習塾、スポーツクラブなど)に対し、従事者による児童対象性暴力等を防止する措置を講じることなどを義務付けます。この法律は、被害が起こってから対処するのではなく、そもそも被害を起こさせない環境を作ることを最大の目的としています

あなたの教室は対象?「義務」と「認定(任意)」の違い

「こども性暴力防止法」の対象には「法定事業者(義務)」「認定事業者(任意)」があります。 法定事業者は、学校(幼稚園、小・中・高校)、認可保育所、認定こども園、児童福祉施設などが対象です。法律によってこの取り組みを行うことが義務付けられています。一方、 学習塾、スポーツクラブ、ダンススクール、認可外保育施設などは、任意で国の「認定」を受けることができます。

【義務】法律で実施が「必須」となる施設

カテゴリ具体的な例
学校関係幼稚園、小学校、中学校、高校、特別支援学校、高専、専修学校(高等課程)
保育・児童福祉保育所、認定こども園、児童館、児童養護施設、乳児院、母子生活支援施設
行政・相談児童相談所(一時保護施設を含む)
障害児支援放課後等デイサービス、児童発達支援、障害児入所施設
地域保育小規模保育、家庭的保育(ベビーシッター等)、こども誰でも通園制度

【認定】任意で「国の認定」を受けて実施する施設

カテゴリ具体的な例
各種学校などインターナショナルスクール、准看護学校、専修学校(一般課程:簿記、製菓など)
届出が必要な事業放課後児童クラブ(学童)、認可外保育施設、病児保育、一時預かり事業
障害者支援障害児向けの居宅介護、短期入所(ショートステイ)など
民間教育学習塾、スポーツクラブ、ダンススクール、音楽教室など

(※)民間教育の場合、 全ての習い事が対象ではなく、以下の条件を満たすものが検討されています。

  • 対面で指導すること
  • 6か月以上の継続的な教育であること
  • 事業者が用意した場所で行うこと
  • こどもに何かを教える者が3人以上であること

認定の表示|認定事業者マークとは

認定を受けた事業者は認定事業者マーク(こまもろうマーク)を表示することができます。事業者マークは2種類あり、学習塾やスポーツクラブなどで、国の認定を受けた事業者が表示可能な認定事業者マークと学校、認可保育所などの義務対象事業者が表示可能な法定事業者マークがあります。広告などに表示することができ、利用者が塾やスポーツクラブを選ぶ際の、新しい安全基準になります。また、認定された事業者は、こども家庭庁のウェブサイトで公表されます。保護者が「近くに安心な塾はないかな?」と探す際、国のリストに教室名が載っていることは、強い信頼の裏付けになります。

出典:こども性暴力防止法(学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律)|こども家庭庁

「こども性暴力防止法」における対象となる業務の範囲

業務を特定する「3つのキーワード」

国は、こどもが大人から勉強やスポーツを教わったり、保育を受けたりする場所において、以下の3つの特徴を持つ業務を対象として検討しています。

支配性(力関係): 先生と生徒のように、教える側が指導し、こどもがそれに従うという「非対称な力関係」があること。

継続性(時間の長さ): 単発のイベントではなく、一定期間にわたって繰り返し接し、密接な人間関係が築かれること。

閉鎖性(目の届きにくさ): 親や第三者の監視が届かない状況でこどもを預かり、他者の目に触れにくい状況を作り出しやすいこと。

具体的にどんな「職種」が対象になるのか?

業務の内容によって、「一律に対象となる職種」と「現場の判断で対象となる職種」に分かれます。

① 一律に対象となる主な職種(常にこどもと接する)

これらの職種は、雇用形態(正社員・アルバイト)に関わらず、基本的にすべて確認の対象となります。

学校・保育園など(法定事業者): 校長、園長、教諭、保育士、児童指導員、心理療法担当職員など。

塾・スポーツクラブなど(認定事業者): 塾講師、スイミングクラブの指導員、ダンススクールの講師、放課後児童支援員など。

② 実態に応じて現場で判断する職種

こどもと直接教え合う立場ではなくても、「こどもに継続的に接する可能性がある」場合は、現場の判断で対象に含めることができます。

事務職員: 受付や教務事務など。

送迎バスの運転手: 通塾や通園のサポートをする方など。

フリーランス・個人事業主の取り扱いと今後の課題

現時点では、個人事業主(家庭教師やベビーシッターなど)は本法律案の直接的な対象外となっています。これは、個人では相談窓口の設置などの組織的な措置を講じることが困難であることや、犯罪歴の悪用リスクを考慮したためです。しかし、今後の施行状況を踏まえた見直しが予定されています。

性暴力を防ぐために講じなければならない具体的な義務内容

「こども性暴力防止法」において、教育・保育を提供する事業者が、スタッフ(従事者)による性暴力を防ぐために講じなければならない具体的な義務(措置)の内容は、大きく分けて以下の5つの柱で構成されています。

1. 安全確保措置:日頃から取り組む「初犯防止策」

こどもたちが毎日安全に過ごせるよう、異変をいち早く察知するための仕組み作りが求められます。

ルールの策定と周知: 事業者や業界ごとに、「何が性暴力や不適切な行為にあたるか」というルール(服務規律)を決め、保護者やこどもにも伝えます。

早期把握のための面談・アンケート: こどもたちと定期的に面談を行ったりアンケートを実施したりして、性暴力のおそれを早めに把握します。

相談しやすい体制づくり: こどもたちが困ったときに、いつでも安心して相談できる窓口や体制を整えます。

スタッフ研修: こどもと接する仕事に就くすべてのスタッフに対し、性暴力を防ぐための知識を学ぶ研修を定期的に実施します。

2. 犯罪事実確認:性犯罪歴のチェック「再犯防止策」

スタッフを雇い入れる際などに、過去の性犯罪歴を国(こども家庭庁)を通じて確認することが義務付けられます。

確認のタイミング: 新しく雇うときや、配置換えなどでこどもと接する業務に就くときに確認が必要です。

5年ごとの再確認: 一度確認したスタッフについても、その後5年ごとに繰り返し確認を行う必要があります。

対象となる犯罪(特定性犯罪): 不同意性交や不同意わいせつ、児童ポルノ、痴漢、盗撮など、幅広い性犯罪が対象となります。確認できる期間は、服役後20年、罰金刑後10年などと定められています。

3. 防止措置:業務に従事させない「強制的な措置」

犯罪歴の確認や日々の面談などで、そのスタッフが「こどもに対して性暴力を振るうおそれがある」と認められる場合には、非常に厳しい措置をとらなければなりません。

業務からの排除: 性犯罪歴がある場合、あるいは「おそれ」があると判断された場合は、こどもと接する業務に従事させてはならない(内定取り消しや配置転換など)とされています。

必須の実施: 特に、特定性犯罪の前科がある場合は、この防止措置(業務に従事させないこと)が必須となります。

4. 被害発生時の対応:こどもの「保護と支援

万が一、性暴力の被害が疑われる事態が起こってしまった場合の対応も定められています。

迅速な調査: こどもの人権を大切にしながら、聞き取りなどの調査を速やかに行います。

保護・支援の実施: 被害を受けたこどもが安心して教育や保育を続けられるよう、適切な保護と支援を行います。

5. 情報管理措置:機密情報の「厳重な管理」

性犯罪歴という極めてデリケートな情報を扱うため、情報を守るための措置も義務付けられます。

管理ルールの整備: 情報を適切に扱うための社内ルール(情報管理規程)を作ります。

担当者の限定: 情報に触れられる人を、必要最小限の人数に絞ります。

秘密保持と罰則: 得られた情報を他人に教えることは厳禁であり、違反した場合は刑事罰や損害賠償の対象となります。

これらの措置が適切に行われているかについては、国や所轄庁が指導・監督(定期報告や立入検査など)を行うことで、実効性が担保されます

「特定性犯罪」の定義と犯罪事実確認の具体的フロー

確認対象となる「特定性犯罪」の範囲と照会期間

すべての犯罪が対象になるわけではありません。対象となるのは、不同意性交罪、不同意わいせつ罪、児童ポルノ禁止法違反、痴漢、盗撮など、こどもの心身に重大な影響を与える「特定性犯罪」に限定されています。窃盗やストーカー行為などは、現時点では「性暴力」とは性質が異なるとされ、対象外となっている点に注意が必要です。

犯罪事実を確認できる期間には制限があります。再犯リスクに関するデータに基づき、拘禁刑(服役)の場合は執行終了から20年、罰金刑や執行猶予の場合は10年と設定されました。

実務フロー:事業者が辿る申請プロセス

犯罪事実確認の手続きは、プライバシーに最大限配慮した形で行われます。

  1. 事業者が申請: 事業者がこども家庭庁にシステム経由で申請します。
  2. 本人の同意と書類提出: 従事者本人が戸籍情報を直接提出するなど、本人が関与する仕組みです。
  3. 結果の交付: 「犯罪歴なし」の場合は事業者に通知されます。「あり」の場合は、まず本人に通知され、本人が内定を辞退すれば事業者には詳細が伝わらないような配慮もなされています。

参照:こども性暴力防止法について(概要)

認定マーク取得までの具体的なステップと費用

認定には、事業者が、こども家庭庁に事業ごとに申請を行う必要があります。基準を満たす場合は、認定を受けること
ができ、認定された事業者は、こどもと接する従事者が、過去に性犯罪を犯していないかの確認などを行う必要があります。

オンラインでの申請手続きと審査期間

認定の申請は、オンラインで行います。スムーズな申請のために、あらかじめ「GビズID」の取得や、教室内の現状把握(スタッフの数や指導形態の確認)を進めておきましょう。こども家庭庁による審査が行われ、申請内容に誤りがないかなどがチェックされます。申請から認定までは、通常約1〜2か月かかる見込みです。

認定にかかる手数料の目安

認定を受ける際には、3万円程度の手数料の支払いが必要になる予定です。この手数料を支払うことで、正式に認定マークを使用する権利が得られます。

参照:こども性暴力防止法について(概要)

全体スケジュール:成立から施行まで

制度の準備はすでに始まっており、2026年末の施行に向けて段階的に進められます。

2024年(令和6年)〜:制度の骨組みを固める時期

法律の成立を受け、現在はこども家庭庁内に「施行準備室」が設置され、詳細なルールの検討が進められています。

ガイドラインの検討: 「性暴力」や「不適切な行為」の具体的な範囲、事業者が講ずべき安全確保措置の基準などが議論されています。

システムの開発: 性犯罪歴をオンラインで照会するための専用システムの開発が始まっています。

2025年(令和7年)〜2026年前半:具体的なルールが示される時期

事業者が具体的な準備を行うための「資料」が順次公開される予定です。

ガイドラインの策定: 2026年の早い段階で、実務の指針となるガイドラインが策定されます。

マニュアル・教材の公表: 2026年春頃(4月頃)を目途に、事業者向けの実務マニュアルや研修教材が公表される予定です。

全国説明会の開催: 制度の内容を正しく理解してもらうための説明会が、全国で順次開催されます。

2026年(令和8年)後半:施行直前の準備・申請時期

施行半年前からは、より具体的な事務手続きが始まります。

GビズIDの取得準備: 義務対象の事業者がシステムを利用するためのID取得などの準備が進められます。

認定申請の受付開始(予定): 任意の認定制度(習い事など)を利用する事業者の申請準備が本格化します。

2026年12月25日:法律の施行

2026年の施行に向けて、経営者が取るべきアクションとは

採用の仕組みを見直す(内定取り消しルールの明示)

今後、新しい先生を雇う際には、募集要項に「性犯罪歴がないこと」を条件として盛り込むことが推奨されます。内定後に犯罪歴が発覚した場合に適切に対処できるよう、就業規則や契約書の内容をあらかじめ整えておくことが重要です。

公式ガイドラインやマニュアルの公開をチェック

今後、こども家庭庁からより詳細な「ガイドライン」や「実務マニュアル」が公開されます。これらをチェックし、自分の教室に合わせた対策を一つずつ進めていくことが必要です。

日頃から講ずべきルール作りと環境整備

認定事業者には、「服務規律の作成」が求められます。具体的には、こどもとのSNSでの私的なやり取り禁止や、私物スマホでの写真撮影禁止など、「やってはいけない不適切な行為」のルールを明確に定める必要があります。

こどもとの面談や相談しやすい体制づくり

性暴力の兆候をいち早く捉えるため、「こどもとの定期的な面談やアンケート」を実施する仕組みが必要です。また、こどもたちが困ったときに、いつでも安心して相談できる「相談窓口」などの体制も整えなければなりません。

先生・スタッフへの定期的な研修

現場で働くスタッフが、性暴力を防ぐための正しい知識を持つことも基準の一つです。こどもと接するすべてのスタッフは、国が示すガイドラインに沿った性暴力防止のための研修を定期的に受ける必要があります。

 行政手続きとしての「認定申請」と行政書士の役割

行政書士による「認定申請代行」の可能性

行政書士は、官公署に提出する書類の作成や申請手続きの代行を専門とする国家資格者です。本法律案における「民間教育保育等事業者の認定申請」は、行政庁(こども家庭庁)に対する許認可等の手続きに該当するため、行政書士が申請書類の作成や、要件を満たしていることを証明する添付書類の整備をサポートすることが想定されます。特に、フランチャイズ店や中小規模の学習塾にとって、複雑な認定要件の確認や事務フローの構築は大きな負担となるため、専門家の支援は有効です。

規程作成やガイドライン遵守体制の構築支援

認定を受けるためには、内部規程(コンプライアンス指針や性被害防止ガイドライン)の作成が求められます。行政書士は、法令に基づいた適切な規程のドラフト作成を支援し、事業者が認定後に法的義務(安全確保措置や情報の適正管理義務)を円滑に履行できる体制づくりをアドバイスする役割を果たすことができます。

まとめ:こどもの笑顔と教室の未来を守るために

「こども性暴力防止法」は、単なる規制ではなくこどもたちの未来を守り、保護者との信頼関係をより強固にするための制度になり得ます。認定を受け、「こまもろう」マークを掲げることは、あなたの教室が「こどもの安全を最優先に考えている」という最高のメッセージになります。疑問や不安をお持ちの経営者様・管理者様は、ぜひ一度、当事務所へご相談ください。法改正の最新動向を踏まえ、貴組織の安全管理体制の構築を専門的な視点からサポートいたします。

当事務所では大阪府や兵庫県・奈良県などの関西を中心に、許認可申請や外国人の方の在留資格、会社設立などのサポートをおこなっています。「申請をしたいけど要件が分からず通るか不安」「申請に行く時間がない」などのお悩みがあれば全面的にサポートいたします。小さなことでも何かあればお気軽にお問い合わせください。

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参考:こども性暴力防止法(学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律)|こども家庭庁

実際の施行にあたっては、今後発表される政令やガイドラインの内容を必ずご確認ください。

記事監修者

ℳ/大阪の行政書士補助者

2023年行政書士試験合格

大阪市内事務所に勤務している行政書士補助者です。

取扱業務:在留資格、古物商、宅建業、会社設立

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