大阪の行政書士事務所で勤務していますℳです。
会社設立を検討している方や、既存法人の決算月変更を考えている経営者にとって、「決算月をいつにするか」は重要な経営判断です。しかし、多くの起業家がこの決定を軽視し、後になって「もっと慎重に選べばよかった」と後悔しています。
本記事では、会社設立をサポートしてきた経験をもとに、ビジネスの成功を左右する「決算月っていつにすればいいの?」というテーマについて徹底解説します。
「決算といえば3月」というイメージが強いと思います。実際に日本の大企業の多くが3月決算なので、それに合わせると思いがちですが、実は何月に設定しても自由なんです。
今回は、「決算月選びのポイント」を3つにまとめてみました。

そもそも「決算」とは
決算とは、企業の一定期間の収支をまとめて、その時点での業績や財務状況を明らかにすることです。「決算は単なる年度の区切り」ではなく、実際には経営戦略、資金繰り、税務対策のすべてに影響する重要な要素なのです。決算は会社によっては、半年に一度の中間決算や、四半期ごとの四半期決算を実施している場合もありますが、重視されるのは年に一度の本決算です。
決算書類の種類と経営への影響
決算では、決算書(財務諸表)で利益を確定させ、株主の配当や税金の納入を行います。
決算書(財務諸表)では、主に5つの重要書類を作成します。損益計算表(PL)や貸借対照表(BS)などが含まれます。
損益計算書(PL)は会社の収益力を表す書類で、売上から経費を差し引いた利益が明確になります。この書類によって、どの事業が利益を生み、どこにコストがかかっているかが可視化されます。キャッシュフロー計算書(CF)は現金の動きを追跡し、黒字倒産を防ぐために不可欠です。
貸借対照表(BS)は会社の財政状態を示し、資産と負債のバランスを一目で把握できます。左側に資産、右側に負債と純資産を記載し、必ず左右が一致するのが特徴です。
株主資本等変動計算書は純資産の増減を記録し、個別注記表では計算書類の補足情報を詳細に説明します。これらの書類を正確に作成することで、金融機関からの信頼獲得や、投資家への説明責任を果たせます。
決算書の中身
| 名称 | 内容 |
| 貸借対照表 (B/S) | いくら資産があり、いくら負債があるか財政状態を示す。 左に借方(資産)を、右に貸方(負債と資本)を記入し左右の合計が同額になる。 |
| 損益計算書 (P/L) | 会社の利益(収益から費用を引いた額)を示す。売上だけでなく、費用がどれくらいかかっているかが見える。 |
| キャッシュ・フロー計算書 (C/F) | 現金の出入りを計上し、残高を示す。現金がいくら残っているのか、現金の動きが把握できる。 |
| 株主資本等変動計算書 | 貸借対照表の「純資産」の項目が、一年間でどのように増減したかを示す。 |
| 個別注記表 | 計算書類を作成する上でのルールや、表だけでは書ききれない重要な補足情報を示す。固定資産の減価償却方法や、発行済株式に関する事項などが記載される。 |
日本の多くの企業は、決算月を3月決算(4月1日〜翌3月31日)としていることが多いですが、企業ごとに自由に決めることができます。
また決算日も自由に決めることができるので、月末ではなく15日を決算日とすることができます。
決算スケジュールの実務フロー
決算作業は決算日で終わりではありません。例えば3月決算の会社の場合、3月31日にその年度の売上や経費をすべて帳簿に記入し締めます。そこから決算書の作成は決算日から2か月までとされていますので、5月末までに決算書を完成させて、税務署に提出する義務があります。
決算書が完成した時点で決算短信として公開し、株主や取引先に財務状況を報告します。さらに決算日から3か月以内、つまり6月末までに株主総会を開催し、株主の承認を得るプロセスが必要です。
法人と個人事業主の決算の違い
個人事業主の場合、決算月は12月に固定されており変更できません。1月1日から12月31日が事業年度となり、翌年2月16日から3月15日の間に確定申告を行う必要があります。
一方、法人は決算月を自由に設定できます。この自由度こそが法人化の大きなメリットの一つです。会社の状況、業種の特性、節税戦略に合わせて最適な決算月を選択できるため、経営の柔軟性が格段に高まります。
ただし、一度決めた決算月は定款に記載されるため、変更には株主総会の決議と定款変更、税務署への届出が必要になります。最初の選択が非常に重要だということを理解しておきましょう。
ベストな決算月を選ぶための3つのポイント
決算月に正解はありませんが、ベストな決算月は存在します。自社の業種特性を理解し、最も効率的に運営できる決算月を選ぶことが、長期的な経営の安定につながります。
1. 会社の繁忙期を避ける
決算月とその翌月は、棚卸しや書類作成で非常に忙しくなります。本業が一番忙しい時期を決算にすると、ミスが起きやすく現場も混乱します。事務負担の軽減のため会社の繁忙期をさせるのがおすすめです。
業種別の「おすすめ決算月」
小売・EC業: 年末年始やセール時期は売上が集中する一方、在庫も最大になるため決算月には不向きです。逆に、在庫が最も少なくなる時期を決算月に設定すれば、棚卸し作業を効率化でき、正確な財務状況を把握しやすくなります。
建設業: 建設業界では、公共工事の年度末である3月が最繁忙期となります。この時期に決算を迎えると、工事現場の管理と決算作業が重なり、現場も経理も混乱状態に陥ります。
また、大型工事の契約タイミングと決算月を調整することで、売上計上の平準化も可能になります
教育・スクール業:教育関連事業やスクール運営では、4月の新年度スタートに合わせて入会者が集中します。この需要ピークを期首(事業年度の始まり)に設定すると、売上管理や予算計画が立てやすくなります。
つまり3月決算にすることで、4月から新しい事業年度が始まり、新入生の売上を1年目から計上できます。逆に4月決算にしてしまうと、最大の売上時期が期末に集中し、次年度の計画が立てにくくなります。
2.顧問会計士・税理士の繁忙期を避ける
税理士業界には明確な繁忙期があります。12月の年末調整、2月から3月の確定申告、そして3月決算法人の申告が集中する4月から5月です。この時期に自社の決算を設定すると、税理士の対応が遅れたり、十分なアドバイスを受けられない可能性があります。
決算月を7月や11月など、税理士の閑散期に設定すれば、より丁寧なコンサルティングを受けられ、節税提案や経営アドバイスの質が向上します。顧問税理士がいる場合は、契約前に税理士の繁忙期を確認し、それを避けた決算月を選択することをお勧めします。
また、税理士報酬の交渉余地も生まれます。繁忙期を避けた決算月の顧客は税理士にとって業務の平準化につながるため、報酬面で優遇される可能性もあります。
3.消費税の免税期間を考慮する
資本金が1,000万円未満などの条件を満たす新設法人の場合、最大2年間の消費税免税が受けられることがあります。
設立した月に決算を迎えてしまうと、第1期が1ヶ月だけで終わってしまい、免税のメリットが短くなってしまうからです。会社設立月の前月を決算月にするのがおすすめです。 4月設立なら、翌年3月を決算月にすることで、1期目をまるまる12ヶ月確保できます。
納税義務が免除されない場合もありますので国税庁のHPを参照してください。
実務で失敗しない決算月の決定プロセス
理論だけでなく、実際の運用を考慮した決算月選定が重要です。具体的なチェックポイントは以下の通りです。
自社の繁忙期を正確に把握する
決算月とその翌月は、棚卸し、書類作成、税務申告で極めて多忙になります。この時期が本業の繁忙期と重なると、現場の混乱、ミスの増加、機会損失のリスクが高まります。
まず過去のデータや業界の季節変動を分析し、自社の売上ピーク、人員配置が最も厳しい時期、受注が集中する時期を明確にしましょう。これらの時期を決算月から少なくとも2か月以上ずらすことが理想です。
特に創業初年度は売上予測が不確実なため、業界の一般的な繁忙期を参考にしつつ、自社のビジネスモデルの特性を加味して判断することが重要です。
資金繰りサイクルとの整合性確認
決算月の選択は、資金繰りにも大きく影響します。売上債権の回収サイクル、仕入債務の支払いサイクル、固定費の支払いタイミングを総合的に分析する必要があります。
例えば、売上が3月に集中し入金が5月になる業種の場合、4月決算にすると決算日時点で多額の売掛金が計上され、税金は発生するのに現金がない状態になります。この場合、入金後の6月や7月を決算月にすれば、納税資金の確保がしやすくなります。
キャッシュフロー計算書の作成が義務付けられている理由も、ここにあります。利益と現金は別物であり、決算月の選択で資金繰りの難易度が大きく変わることを認識しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 決算月は変更可能ですか?
A. 一度決めた決算月でも、事業環境の変化により変更が必要になる場合があります。決算月変更は可能ですが、一定の手続きと注意点があります。
まず株主総会で決算月変更の決議を行い、議事録を作成します。次に定款を変更し、税務署に異動届出書を速やかに提出します。決算月は登記事項ではないため、法務局での手続きや登録免許税は不要です。
ただし、決算月変更により事業年度が短くなったり長くなったりするため、消費税の課税期間や、許認可の有効期間に影響が出る可能性があります。変更前に税理士や行政書士に相談し、総合的な影響を確認することが不可欠です。
Q. 会社設立までどれくらい時間がかかりますか?
A. 株式会社の場合、公証役場へ定款認証と法務局に会社登記申請が必要です。1か月から1か月半ほどの時間がかかります。
定款については下記の記事を参考にしてください。
当事務所では、お客様のビジネスモデルに合わせて最適な決算月のご提案も含めた会社設立サポートを行っております。

行政書士に依頼するメリット
ご自身で会社設立申請を行うことも可能ですが、行政書士に依頼することで以下のようなメリットがあります。
行政書士の強みは、会社設立だけでなく、その後の許認可申請までワンストップでサポートできる点です。決算月の相談を入口として、建設業許可、飲食店営業許可、在留資格(ビザ)申請などの関連業務につなげることができます。
また、相談時には、決算月だけでなく、資本金の設定、役員構成、定款の目的など、会社設立の全体をサポートが可能です。
「開業準備に専念できる」「定款作成から公証役場での認証、司法書士と連携した登記までワンストップ」というメリットは、時間のない起業家にとって大きな価値です。時間的コストと精神的負担の削減になります。
当事務所では、大阪府・兵庫県・奈良県を中心に、会社設立から許認可取得まで、起業家の皆様を全面的にサポートしております。
「自分で会社設立できるか不安」「忙しくて手続きに行く時間がない」「最適な決算月がわからない」という方は、まずは無料相談をご利用ください。
ビジネスモデル、業種特性、将来の事業計画を丁寧にヒアリングし、最適な決算月と会社設立プランをご提案いたします。オンライン相談も対応しておりますので、全国どこからでもお気軽にご連絡ください。
まとめ
今回は決算月について解説しました。
決算月を決めるには下記のリストを参考にしてご自身の会社にとって最適な決算月を決めることがおすすめです。
- 本業が一番忙しい時期ではないか?
- 在庫が一番少なくなる時期か?
- 顧問税理士の繁忙期(2月〜3月)と重なっていないか?
- 消費税の免税期間を最長(約2年)に設定できているか?
会社設立には決算月をはじめ、資本金、会社の目的など記載事項が多岐に渡ります。定款の作成から、認証、登記と多くの時間が必要になるので行政書士に依頼した方がスムーズに会社を始められます。「自分で会社設立ができるか不安」「忙しくて手続きに行く時間がない」という方は、お気軽にご相談ください。


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