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【2026年最新版】株式会社の定款変更の方法を完全ガイド|手続きの流れから費用まで解説

会社を経営していると、事業の拡大や組織の変更に伴って会社の目的を追加したい、取締役を変更したいなどの定款を変更する必要がある場面に直面します。しかし、多くの経営者様から「定款変更って何から始めればいいの?」「自分でできる?それとも専門家に頼むべき?」といったご相談をいただきます。

この記事では、株式会社の定款変更について、初めての方でも理解できるよう丁寧に解説します。手続きの流れ、必要な費用、よくあるミス、そしてスムーズに進めるためのポイントまで、実務経験に基づいた情報をお届けします。

目次

そもそも定款とは?変更が必要になるケースを知ろう

定款は会社の「憲法」である理由

定款とは、会社を設立する際に作成する根本規則のことです。会社法では「会社の組織や運営に関する基本的なルールを定めたもの」と位置づけられており、いわば会社の憲法とも呼ばれています。

定款には「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3種類があります。

絶対的記載事項とは、商号・目的・本店所在地・設立時の出資額・発起人の氏名と住所など、必ず記載しなければならない項目です。これらが記載されていないと定款自体が無効になってしまいます。

相対的記載事項は、記載しなくても定款は有効ですが、記載しなければその効力が認められない事項です。例えば、現物出資や財産引受などがこれにあたります。

任意的記載事項は、会社が自由に定められる事項で、取締役の人数や事業年度などが該当します。

定款変更が必要になる具体的なシーン

実際のビジネスシーンでは、以下のような場合に定款変更が必要となります。

事業拡大のケースでは、新規事業を始める際に会社の目的に新しい事業内容を追加する必要があります。例えば、飲食店を経営していた会社がEC事業を始める場合、「インターネットを利用した通信販売業」といった目的を追加します。

組織変更のケースでは、取締役の人数を増やす、監査役を設置する、取締役会を廃止するなど、会社の機関設計を変更する場合に定款変更が必要です。これは会社の成長段階に応じてガバナンス体制を最適化する際によく発生します。

その他のケースとしては、オフィスの移転による本店所在地の変更、ブランディング戦略による商号変更、資金調達のための増資なども定款変更を伴います。いずれも会社の成長や環境変化に対応するための重要な手続きといえます。

定款変更を放置するとどうなる?

定款に記載された事項と実態が異なるまま放置すると、さまざまなリスクが生じます。

まず、許認可申請での問題です。建設業許可や介護事業の指定など、多くの許認可申請では現行定款の提出が求められます。定款の記載内容と実際の事業内容が一致していないと、許認可が下りない、あるいは既存の許認可が取り消される可能性があります。

次に、融資や取引での信用問題です。金融機関からの融資審査や大手企業との取引開始時には、登記簿謄本や定款の提出を求められることがあります。記載内容に齟齬があると、会社の管理体制に疑念を持たれ、取引自体が不成立になるケースもあります。

さらに、法的なトラブルのリスクも考えられます。例えば、株主総会を経ずに定款変更を行った場合、その変更は無効となり、後々株主との間で訴訟に発展する可能性もあります。適切な手続きを踏むことが、会社を守ることにつながるのです。

株式会社の定款変更、4つのステップを詳しく解説

ステップ1「変更内容の決定と準備」

定款変更が必要な事柄は以下の例があります。

商号を変更したい

事業目的を変更・追加したい

本店住所を変更したい

資本金を増やしたい(増資したい)

取締役を変更したい

取締役の氏名・住所を変更したい

定款変更の第一歩は、何をどのように変更するのかを明確にすることです。

変更内容の具体化では、単に「目的を追加したい」ではなく、「具体的にどのような文言で追加するのか」まで詰める必要があります。会社法では、目的は「適法性」「営利性」「明確性」「具体性」の4つの要件を満たす必要があるため、専門家のアドバイスを受けながら適切な文言を検討することをお勧めします。

変更の影響範囲の確認も重要です。例えば、本店所在地を変更する場合、法務局の管轄が変わるかどうかで手続きや費用が異なります。また、税務署や年金事務所など、届出が必要な官公庁もリストアップしておきましょう。

必要書類の準備として、株主名簿、既存の定款、会社の登記簿謄本などを手元に用意します。これらは株主総会の開催準備や登記申請の際に必要となります。

ステップ2「株主総会の招集と開催」

定款変更には株主総会の特別決議が必要です。これは定款が会社の根本規則であるため、慎重な意思決定が求められるからです。

株主総会の招集手続きでは、原則として株主総会の2週間前までに株主に対して招集通知を発送します。ただし、非公開会社(株式譲渡制限会社)の場合は1週間前でも可能です。招集通知には、日時・場所・目的事項(定款変更の議題)を明記します。

特別決議の要件は、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。普通決議(過半数の賛成)よりも厳格な要件となっています。小規模な会社で株主が少ない場合でも、この手続きは省略できません。

株主総会議事録の作成は、決議の証拠として極めて重要です。議事録には、開催日時・場所・出席株主・議事の経過の要領・決議事項などを記載し、議長と出席取締役が署名または記名押印します。この議事録は後の登記申請でも必要となります。

ステップ3「法務局での変更登記申請」(登記が必要な場合)

定款変更の内容によっては、法務局での変更登記が必要になります。

登記が必要な変更事項には、商号・目的・本店所在地・資本金・役員(取締役・監査役など)に関する事項があります。これらは会社の基本情報として登記されているため、変更があれば登記簿の内容も更新しなければなりません。

申請期限と登録免許税について、変更の効力が発生した日(通常は株主総会決議の日)から2週間以内に申請する必要があります。期限を過ぎると、代表者に対して過料(罰金)が科される可能性があります。登録免許税は変更内容によって異なり、商号・目的・本店所在地などは3万円、役員変更は1万円(資本金1億円以上の会社は3万円)が標準的です。

申請方法と必要書類として、申請書・株主総会議事録・株主リスト・定款(変更後のもの)・印鑑証明書(場合による)などを用意します。申請は管轄の法務局に直接持参するか、郵送、またはオンライン申請も可能です。

ステップ4「関係官庁への届出と定款の更新」

登記が完了したら、関係する官公庁への届出を忘れずに行いましょう。

税務署への届出では、商号・本店所在地・事業目的・役員などを変更した場合、「異動届出書」を提出します。提出期限は変更の日から速やかに、とされていますが、遅くとも変更後1ヶ月以内には提出することをお勧めします。

都道府県・市区町村への届出も同様に、法人住民税に関する異動届を提出します。自治体によって書式や提出方法が異なるため、該当する自治体のホームページで確認するか、直接問い合わせるとよいでしょう。

関連する届出の漏れとして、法務局での登記は完了したものの、税務署や社会保険事務所への届出を忘れてしまうケースです。特に本店所在地の変更では、多くの官公庁への届出が必要となります。チェックリストを作成し、一つひとつ確実に対応することが大切です。

変更した定款を最初に作成した原子定款に対して、現行定款と呼びます。

許認可申請や融資の際には現行定款の提出を求められることが多いため、変更の都度、適切に更新し、会社で保管しておく必要があります。

定款変更にかかる費用を項目別に解説

登録免許税の詳細(変更内容別)

登録免許税は、法務局で変更登記を行う際に国に納める税金です。変更内容によって金額が定められています。

一般的な変更の登録免許税として、商号変更は3万円、目的変更は3万円、本店所在地変更は3万円(管轄内の移転)です。ただし、本店を別の法務局の管轄に移転する場合は、旧所在地で3万円、新所在地で3万円の合計6万円が必要になります。

役員変更の登録免許税は、資本金1億円未満の会社は1万円、資本金1億円以上の会社は3万円です。複数の役員を同時に変更しても、一度の申請であれば1件分の登録免許税で済みます。

資本金変更(増資)の登録免許税は、増加した資本金額の0.7%または3万円のいずれか高い方となります。例えば、500万円増資する場合、500万円×0.7%=3万5千円となり、3万円より高いため3万5千円が登録免許税となります。

変更箇所登録免許税
商号変更3万円
目的変更3万円
本店・支店住所変更3万円(都道府県や市など管轄をまたぐ場合はそれぞれの場所に3万円)
支店の設置(1か所につき)6万円
資本金変更3万円または資本金の0.7%
取締役変更1万円(資本金1億円以上は3万円)
取締役の氏名・住所変更1万円(資本金1億円以上は3万円)

自分で手続きする場合の費用とリスク

費用を抑えるために自分で手続きを行うことも可能ですが、メリットとデメリットを理解しておきましょう。

自分で行う場合の費用は、登録免許税+実費(収入印紙代、登記簿謄本取得費用、郵送費など)のみで、専門家報酬が不要です。シンプルな変更であれば、トータルで3万円から5万円程度に抑えられます。

自分で行う場合の注意点として、書類の不備による申請の却下リスクがあります。法務局で補正を求められることもあり、何度も足を運ぶ手間が発生する可能性があります。また、申請期限(2週間以内)を過ぎてしまうと過料のリスクもあります。

専門家に依頼するメリットは、正確性とスピードです。書類作成から申請まで専門家が代行するため、経営者の方は本業に集中できます。また、定款変更に関連する他の手続き(官公庁への届出など)についてもアドバイスを受けられるため、手続き漏れを防げます。特に初めての定款変更や複雑な変更の場合は、専門家への依頼をお勧めします。


よくある定款変更のパターンと注意点

事業目的の追加・変更で気をつけること

事業目的の変更は、定款変更の中でも特に多いパターンです。

目的の記載要件として、会社法では目的が「適法」「営利」「明確」「具体的」である必要があります。例えば「インターネット関連事業」という記載は抽象的すぎて認められない可能性があります。「インターネットを利用した商品の販売」「ウェブサイトの企画、制作及び運営」など、より具体的な表現が求められます。

許認可との関係も重要です。建設業許可宅建業免許など、許認可を受けて事業を行う場合、定款の目的にその事業が含まれていることが許認可の要件となります。新規事業を始める前に、まず定款の目的に追加しておくことが必要です。

将来を見据えた目的設定として、現在行っている事業だけでなく、将来的に展開する可能性のある事業も含めて目的を設定することが実務上は一般的です。ただし、あまりに多くの目的を記載すると会社の事業内容が不明確になり、取引先や金融機関からの信用に影響する可能性もあるため、バランスが大切です。

本店所在地の移転手続きのポイント

オフィスの移転に伴う本店所在地の変更には、いくつかの注意点があります。

管轄内移転と管轄外移転の違いについて、同じ法務局の管轄内で移転する場合は、1回の登記申請(登録免許税3万円)で済みます。しかし、法務局の管轄を越えて移転する場合は、旧所在地と新所在地の両方で登記申請が必要となり、登録免許税も合計6万円かかります。

定款の記載方法にも工夫があります。定款に本店所在地を「大阪市北区」というように最小行政区画まで記載している場合、区内での移転であれば定款変更は不要で、取締役会決議(または取締役の決定)だけで移転できます。一方、番地まで記載している場合は、毎回定款変更と株主総会決議が必要になります。

移転に伴う各種届出として、税務署・都道府県・市区町村への異動届、社会保険事務所への変更届、労働基準監督署やハローワークへの届出など、多岐にわたります。これらの届出漏れがないよう、チェックリストを作成して確実に対応しましょう。

役員変更の手続きと任期管理

役員変更も頻繁に発生する定款変更のひとつです。

役員変更が必要なケースとして、新たな取締役や監査役の就任、既存役員の辞任・解任、役員の任期満了に伴う重任(再任)などがあります。特に任期満了による重任は見落としがちで、登記を怠ると過料の対象となります。

役員の任期管理について、取締役の任期は原則2年、監査役の任期は原則4年です(非公開会社の場合は定款で最長10年まで伸長可能)。役員の任期を把握し、満了前に株主総会を開催して重任(再任)または新任の手続きを行う必要があります。カレンダーやリマインダーで管理することをお勧めします。

登記申請のタイミングとして、役員の就任・退任があった日から2週間以内に変更登記を申請します。就任の場合は就任承諾書、退任の場合は辞任届などの書類が必要です。また、新たに就任する役員については、印鑑証明書の添付が求められる場合もあります。


定款変更をスムーズに進めるための実務アドバイス

定款変更と合わせて確認すべき事項

定款変更を機に、会社の体制を見直すよい機会でもあります。

登記情報の総点検として、定款変更のタイミングで、現在の登記簿謄本を取得し、記載内容に誤りや古い情報がないか確認しましょう。役員の住所変更を長年放置しているケースなども散見されます。必要に応じて、まとめて修正することで効率的です。

内部規程の整備も重要です。定款とともに、株主総会規程、取締役会規程、稟議規程などの内部規程も会社運営の基盤となります。定款変更に伴って内部規程も見直し、矛盾がないように整合性を保つことが、円滑な会社運営につながります。

許認可の更新時期の確認として、建設業許可や飲食店営業許可など、定期的な更新が必要な許認可を取得している場合、更新のタイミングと定款変更のタイミングを合わせることで、手続きを効率化できます。また、定款変更によって許認可の要件に影響がないかも確認しましょう。

よくあるミスと失敗事例から学ぶ

実務でよく見られるミスや失敗事例をご紹介します。

株主総会の手続き不備として、招集通知を省略したり、決議要件を満たさない状態で決議してしまうケースがあります。特に、株主が家族だけの小規模会社では「形式的な手続きは不要」と誤解されがちですが、会社法上の手続きは必ず守る必要があります。手続きに瑕疵があると、後々その決議自体が無効とされるリスクがあります。

申請期限の徒過も多いミスです。変更の効力発生日から2週間以内という期限を見落とし、気づいたら数ヶ月、場合によっては数年経過していたというケースもあります。過料の対象となるだけでなく、その間の役員の権限にも疑義が生じる可能性があります。


まとめ

定款変更は、会社の成長や環境変化に対応するための重要な手続きです。株主総会での特別決議、法務局での変更登記、関係官公庁への届出という一連の流れを正確に理解し、適切なタイミングで実行することが求められます。

特に注意すべきポイントは、株主総会の決議要件を満たすこと、変更登記の申請期限(2週間以内)を守ること、そして許認可や税務など関連する手続きを漏れなく行うことです。登録免許税や専門家報酬などの費用も事前に把握し、予算を確保しておきましょう。

初めての定款変更や複雑な変更の場合は、行政書士や司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。確実な手続きにより、会社運営のリスクを回避し、本業に集中できる環境を整えることができます。

当事務所では、大阪を中心に定款変更のサポートの他、許認可申請、在留資格申請などのサポートをを行っております。お気軽にお問い合わせください。無料相談やお問い合わせはこちらから



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