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【在留資格】2027年からスタートする育成就労制度とは?技能実習との違いとは

大阪の行政書士事務所で勤務していますℳです。

「技能実習生の受け入れを続けたいけど、2027年からどう変わるの?」 「育成就労制度って何?今から準備すべきことは?」

このような疑問をお持ちの企業担当者の方は多いのではないでしょうか。

近年、日本の人手不足が深刻化しています。また、これまでの技能実習制度では、「制度目的と実態の乖離」「外国人労働者の権利保護」などの課題が指摘されていました。

そのため、令和6年6月21日、「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律」が公布されました。

それにより、人材の育成・確保を目的とする育成就労制度が創設されます。

法改正の主な内容

国際貢献を目的とする技能実習制度を発展的に解消する。

人材育成と人材確保を目的とする育成就労制度を創設する。

育成就労制度と特定技能制度に連続性を持たせ、外国人が日本でキャリアアップできる制度の構築。

長期にわたり我が国の産業を支える人材を確保することを目指す。

育成就労制度の運用開始と特定技能制度の適正化等の施行日は2027年(令和9年)4月1日です。令和8年度には監理支援機関の許可及び育成就労計画の認定に係る施行日前申請を受け付けることを予定しています。

今から正しい知識を身につけて、スムーズな移行準備を始めましょう。

目次

育成就労制度が創設される背景と目的

日本の深刻な人手不足の現状

日本社会は今、かつてない規模の人手不足に直面しています。

少子高齢化の進行により、生産年齢人口(15〜64歳)は減少の一途をたどっています。特に製造業、建設業、介護業、農業、漁業などの現場では、日本人労働者の確保が極めて困難な状況です。

具体的な数字で見る人手不足: 厚生労働省の調査によれば、多くの産業分野で有効求人倍率が1.5倍を超え、慢性的な人手不足が続いています。特に介護分野では2025年問題(団塊の世代が75歳以上になる)を控え、数十万人規模の人材不足が予測されています。

この状況を受け、政府は外国人材の受け入れを戦略的に拡大する方針を打ち出しました。しかし、従来の技能実習制度には多くの課題があり、抜本的な見直しが必要とされていたのです。

技能実習制度が抱えていた課題

技能実習制度とは、1993年に創設され、発展途上国の外国人の方を日本での技能等の修得等を通じた人材育成により国際貢献を行うことが目的の制度です。技能実習第1号・第2号・第3号があり、1号が1年、2号は2年、3号は2年と、最長で5年日本に滞在できます。現在日本では約45万人日本に在留しています。(令和7年6月現在)

しかし実態は、日本の人手不足を補う労働力として機能しており、制度の建前と実態の大きな乖離が問題視されていました。

主な課題:

課題1:転籍(転職)の制限 技能実習生は原則として職場を変えることができず、劣悪な労働環境でも我慢せざるを得ない状況に置かれることがありました。これが人権侵害や失踪につながるケースも報告されています。

課題2:キャリアアップの道筋が不明確 技能実習修了後の進路が限定的で、日本で長期的にキャリアを築く道が十分に整備されていませんでした。

課題3:日本語能力の要件がない 来日時に日本語能力が求められないため、コミュニケーション不足による労働災害や職場トラブルが発生しやすい状況でした。

課題4:監理団体の質のばらつき 監理団体によって支援の質に大きな差があり、一部では不適切な管理や高額な手数料の徴収などの問題も指摘されていました。

これらの課題を解決し、より実態に即した制度へと転換するために、育成就労制度が創設されることになったのです。

「育成就労産業分野」において、日本での3年間の就労を通じて特定技能1号の水準の技能を有する人材を育成することで、当該分野における人材を確保することです。

育成就労制度の基本コンセプト

育成就労制度は、これまでの技能実習の目的であった「国際貢献」という建前を脱却し、人材育成と人材確保を正面から目的とする新しい仕組みです。

3つの基本方針:

方針1:人材育成と人材確保の両立 日本の人手不足分野において、3年間の就労を通じて特定技能1号レベルの技能を持つ人材を育成し、同時に産業を支える人材を確保します。

方針2:特定技能制度との連続性 育成就労から特定技能1号、さらに特定技能2号へとステップアップできる明確なキャリアパスを構築します。これにより、外国人材が日本で長期的にキャリアを築ける環境を整備します。

方針3:外国人の権利保護の強化 転籍の要件緩和、監理支援機関の要件厳格化など、外国人労働者の権利をより手厚く保護する仕組みを導入します。

この新制度により、企業は長期的な視点で外国人材を育成・確保でき、外国人本人もキャリアアップの展望を持って働ける、双方にメリットのある仕組みが実現します。

技能実習制度→我が国での技能等の修得等を通じた人材育成により国際貢献を行うことを目的とする制度

育成就労制度→我が国の人手不足分野における人材育成と人材確保を目的とする制度

技能実習と育成就労では制度の目的が異なります。

育成就労制度と技能実習制度の主な違い

制度目的の根本的な転換

育成就労制度と技能実習制度の最も大きな違いは、制度の目的そのものです。

技能実習制度の目的: 「発展途上国への技能移転による国際貢献」

育成就労制度の目的: 「日本の人手不足分野における人材育成と人材確保」

実務への影響: 技能実習制度では「技能移転」が建前だったため、実習生を「労働力」として活用することに後ろめたさがありました。しかし育成就労制度では、人材確保が正式な目的となるため、企業は堂々と長期的な人材戦略の一環として外国人材を位置づけることができます。

ただし、これは「使い捨ての労働力」として扱ってよいという意味では決してありません。むしろ、きちんとした育成計画と支援体制が求められるようになります。

転籍(転職)ルールの大幅な変更

技能実習制度での最大の問題点とされていた転籍制限が、育成就労制度では大幅に緩和されます。

技能実習制度:

  • 転籍は原則として認められない
  • やむを得ない事情(実習先の倒産、本人の病気など)がある場合のみ例外的に可能

育成就労制度:

  • 一定の要件を満たせば、本人の意向による転籍が可能
  • 就労開始から1年経過後は、同一の育成就労産業分野内であれば転籍可能
  • 技能検定基礎級等の合格と一定の日本語能力があれば、異なる分野への転籍も検討

転籍が可能になることの意味:

企業側にとっては、優秀な人材を引き留めるために、より良い労働環境と待遇を提供するインセンティブが働きます。外国人材にとっては、不適切な職場環境から抜け出す選択肢が得られ、人権保護が大きく前進します。

ただし、無制限の転籍を認めると受け入れ企業の投資(育成コスト)が無駄になる懸念もあるため、一定期間の就労義務や要件が設定される見込みです。

日本語能力要件の新設

育成就労制度では、来日前に一定の日本語能力を身につけることが必須となります。

技能実習制度:

  • 日本語能力要件は原則として不問
  • 入国後の講習で学ぶ仕組み

育成就労制度:

  • 就労開始前に「日本語能力試験A1相当以上」の合格、またはそれに相当する日本語講習の受講が必須
  • A1相当とは、日本語能力試験のN5レベル(基本的な日本語が理解できる)

日本語要件の実務的な意味:

N5レベルは、「ひらがな・カタカナ・基本的な漢字で書かれた定型的な語句や文を読める」「教室や身近な生活の中でよく出会う基本的な情報を聞き取ることができる」レベルです。

この要件により、来日直後からの円滑なコミュニケーションが期待でき、労働災害の防止や職場での人間関係構築に大きく貢献します。

企業にとっては、日本語教育の初期負担が軽減される一方、より高度な専門用語や業務指導に注力できるようになります。

「育成就労産業分野」とは

育成就労制度の受入れ対象分野である育成就労産業分野については、特定技能制度の対象分野と原則一致する見込みです。令和8年1月23日に閣議決定した分野別運用方針で定めており、同方針は学識経験者や労使団体等から構成される有識者会議の意見を聴いて決定しました。

具体的な育成就労産業分野については出入国在留管理局の「分野別運用方針の主要な記載事項」を参照ください。

特定技能制度「特定技能1号」の特定産業分野(16分野)

介護

ビルクリーニング

工業製品製造業

建設

造船・舶用工業

自動車整備

航空

宿泊

自動車運送業

鉄道

農業

漁業

飲食料品製造業

外食業

林業

木材産業

また、2027年から特定技能の特定産業分野に、倉庫管理廃棄物処理リネン供給が追加され、合計で19分野になる見込みです。

育成就労においては、国内での育成になじまない分野の自動車運送業航空を除外した17分野なる方向で検討が進められています。

育成就労制度から特定技能制度のステップイメージ

就労開始までの準備


来日前に「日本語能力試験(A1相当以上)」の合格もしくは、それに相当する日本語講習の受講します。します。これにより、基本的な日本語でのコミュニケーションができる状態で来日できます。

(日本語能力A1相当とは、日本語能力試験のN5等になります。基本的な日本語能力が必要になります。)

在留資格:育成就労

在留期間は原則3年間です。

在留資格「育成就労」で日本に滞在し、受け入れ企業で就労しながら技能を習得します。

就労期間に「技能検定基礎級等」と「日本語試験(A1相当以上の水準から特定技能1号移行時に必要となる日本語能力の水準までの範囲内で各分野ごとに設定)」の合格が、転籍の条件となります。

技能検定試験3級」や「特定技能1号評価試験」+「日本語能力試験(A2相当以上)」の合格で

在留資格:特定技能1号に移行

在留期間は5年間


育成就労を経ずに外国で試験を受験して特定技能1号で入国することも可能です。

仮に試験に不合格だった場合でも、再受験のための最長1年間の在留継続が認められる予定です。これにより、3年間の育成が無駄にならず、本人も企業も再チャレンジの機会を得られます

特定技能2号評価試験」+「日本語能力B1相当以上の試験」の合格で在留期限が制限のない

在留資格:特定技能2号に移行

特定技能2号のメリット:

在留期限の制限なし: 1年、3年、または5年ごとの更新は必要ですが、理論上は無期限に日本で働き続けることができます。

家族帯同が可能: 配偶者と子どもを日本に呼び寄せることができます。これにより、家族と一緒に日本で生活する道が開かれます。

永住権への道: 特定技能2号で10年間(就労期間も含む)日本に在留すれば、永住許可申請の要件を満たす可能性があります。

企業にとっての意味: 育成就労からスタートした人材が特定技能2号まで到達すれば、長期的に企業の中核を担う人材として活躍できます。日本人社員と同様に、腰を据えて人材育成に投資する価値があるのです。

このように、育成就労制度は単なる3年間の受け入れ制度ではなく、長期的なキャリア構築の第一歩として位置づけられています。

現行の技能実習制度でも特定技能1号への移行は可能ですが、育成就労制度は、特定技能制度へのスムーズな移行を前提とした設計です。

育成就労制度では、家族の帯同は原則として認めないこととしています。特定技能2号へ移行した場合は、家族帯同が可能になります。

育成就労制度では、派遣形態での就労は原則として認められませんが、季節性のある特定の分野(農業や漁業)に限り例外的に認められる予定です。

育成就労制度の監理支援機関と技能実習制度の監理団体との違い

監理支援機関は監理団体と同様の、受入れ機関に対する監理・指導、育成就労外国人の支援・保護等を行うことになります。その上で、育成就労制度では、監理・支援・保護機能を強化する方向で許可の要件を見直すこととしています。

監理団体は自動的に監理支援機関に移行できるわけではありませんので、新たな許可要件を満たした上で監理支援機関としての許可を新規に取得する必要があります。

育成就労制度の監理支援機関で新たに加わる要件

外部監査人を設置していること。
債務超過がないこと。
監理支援を行う受入れ機関(育成就労実施者)の数が原則として2者以上であること。
監理支援事業の実務に従事する常勤の役職員が2人以上であり、かつ、監理支援を行う受入れ機関(育成就労実施者)の数を8で割って得た数を当該役職員の数が超えており、監理支援を行う育成就労外国人の数を40で割って得た数を当該役職員の数が超えていること。

外部監査人となるための要件として、養成講習を受講していることや弁護士、社会保険労務士、行政書士の有資格者その他育成就労の知見を有する者であること等の要件があります。

企業が今から準備すべきこと

2027年施行に向けたスケジュール感

育成就労制度の施行は2027年4月ですが、準備は今から始める必要があります。

2026年:

  • 具体的な省令や通達の公表
  • 監理支援機関の選定または切り替え準備
  • 育成計画の策定準備
  • 社内の受け入れ体制の整備

2027年4月〜:

  • 育成就労制度の正式施行
  • 新制度での外国人材受け入れ開始

現在受け入れている技能実習生の扱い: 2027年4月以前に入国した技能実習生は、従来の技能実習制度のルールが適用され、最長5年間の実習を継続できる見込みです。ただし、本人の希望と要件を満たせば、新制度への移行も可能になる可能性があります。

受け入れ体制の見直しポイント

育成就労制度への移行に際して、企業が見直すべき主なポイントを整理します。

ポイント1:育成計画の明確化 技能実習制度以上に、体系的で実効性のある育成計画が求められます。「いつまでに」「どのような技能を」「どう教えるのか」を具体的に文書化する必要があります。

特定技能1号への移行を前提とするため、3年間でどのレベルまで育成するか、試験対策をどう支援するかも計画に盛り込むべきです。

ポイント2:日本語教育の支援体制 来日時に基礎的な日本語能力があるとはいえ、業務に必要な専門用語や日本語能力の向上支援は継続的に必要です。

社内での日本語学習時間の確保、外部講師の活用、eラーニングの導入など、具体的な支援策を検討しましょう。

ポイント3:労働環境と待遇の整備 転籍が可能になることで、優秀な人材の流出を防ぐには、魅力的な労働環境と適切な待遇が不可欠です。

  • 同種の業務を行う日本人と同等以上の報酬
  • 適切な労働時間管理
  • 安全で快適な住環境の提供
  • キャリアアップの道筋の明示

これらを整備することが、長期的な人材確保につながります。

監理支援機関選びと関係構築

育成就労制度で成功するカギは、優良な監理支援機関との連携です。

優良な監理支援機関の見分け方:

実績の確認: 技能実習での実績、受け入れ企業からの評価、トラブル対応力などを確認します。

支援体制の充実度: 母国語での相談対応、定期的な訪問指導、緊急時の対応体制などが整っているか確認しましょう。

費用の透明性: 手数料の内訳が明確で、不明瞭な費用請求がないか確認します。

新制度への対応準備: 監理支援機関としての許可取得に向けた準備状況を確認することも重要です。

長期的なパートナーとしての視点: 単に手続きを代行してくれる業者ではなく、外国人材の育成と定着を共に考えるパートナーとして、信頼できる監理支援機関を選びましょう。

また、監理支援機関との定期的な情報交換、課題の共有、改善提案などを通じて、良好な関係を築くことが、受け入れ成功の秘訣です。


まとめ|育成就労制度で実現する人材戦略

育成就労制度がもたらす3つのチャンス

育成就労制度は、企業にとって大きなチャンスをもたらします。

チャンス1:長期的な人材確保の実現 育成就労3年、特定技能1号5年、特定技能2号で無期限と、最大で無制限に外国人材を雇用し続けることが可能になります。これにより、日本人採用が困難な分野でも、安定した人材確保の道筋が見えてきます。

チャンス2:優秀な人材の獲得競争 転籍が可能になることで、企業間での人材獲得競争が生まれます。これは一見デメリットに見えますが、実は優秀な人材を引きつけるために企業が成長する好機でもあります。

労働環境の改善、キャリアパスの明確化、適切な待遇の提供など、日本人雇用でも求められる「良い職場づくり」を進めることで、外国人材にも日本人にも選ばれる企業になれます。

チャンス3:グローバル人材の育成 日本語能力と専門技能を兼ね備え、日本の企業文化も理解した外国人材は、将来的に海外展開の橋渡し役としても活躍できます。単なる「労働力」ではなく、企業の成長を支える「グローバル人材」として育成する視点が重要です。

成功のために押さえるべき5つのポイント

育成就労制度を成功させるために、企業が押さえるべき重要ポイントをまとめます。

1. 早期の情報収集と準備 2027年の施行を待たず、今から情報収集と社内体制の整備を始めましょう。省令や詳細ルールが公表され次第、速やかに対応できる準備が必要です。

2. 体系的な育成計画の策定 特定技能1号への移行を見据えた3年間の育成計画を、具体的かつ実効性のある形で策定します。

3. 魅力的な労働環境の整備 転籍可能な制度下では、「選ばれる企業」になることが必須です。適切な待遇、安全な職場、成長機会の提供を通じて、外国人材が長く働きたいと思える環境を作りましょう。

4. 信頼できる監理支援機関との連携 優良な監理支援機関を選び、長期的なパートナーシップを構築します。

5. 多文化共生の職場づくり 外国人材を単なる「労働力」ではなく、チームの一員として受け入れる企業文化を醸成します。日本人社員の意識改革、異文化理解の促進も重要な取り組みです。当事務所の支援サービス


まとめ

日本社会の課題である人手不足に対応し、外国人材のキャリアアップを促進するために、国際貢献を目的とした技能実習制度に代わる新しい「育成就労制度」が始まります。

育成就労制度は、企業にとっては長期的な人材確保が期待できる制度です。施行に向けて、各企業や支援機関の準備が重要となります。

2027年4月の施行まで、まだ時間があります。この期間を有効に活用し、制度への理解を深め、受け入れ体制を整備することで、新制度を最大限に活用できます。

外国人材と共に成長し、グローバル時代に対応できる企業へと進化するチャンスです。

関西地域(大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県)を中心に、多数の外国人雇用支援実績がございます。

当事務所は、皆様の取り組みを全力でサポートいたします。ご不明な点やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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