宅建業の免許取得に必要な主な要件は3つあります。
欠格要件に該当しないか
宅建業を営む事務所設置
専任の宅地建物取引士の設置
前回の記事で事務所要件について詳しく解説しました。

今回は専任宅建士について解説します。
専任の宅地建物取引士とは?
宅地建物取引士(宅建士)とは、宅建業を営む際に、宅地や建物の取引の専門家として、購入者などの利益を保護し、円滑な不動産取引を促進することを目的とした国家資格を持つ者です。
そして、宅建業の事務所には「業務に従事する者5人につき1人以上」の割合で、専任の宅建士を配置する義務があります。
業務に従事する者とは?
宅建業のみを営んでいる(専業)場合、常勤役員の全てが含まれるほか、庶務・経理も含まれます。
継続的な雇用関係にある者であれば、パートタイマーなども含まれます。
業務に従事する者
宅建業の営業に直接携わる人や一般管理部門の人: 営業、営業事務、庶務、経理など。
常勤の役員: 個人事業主本人、法人代表者、常勤の役員。
継続的な雇用関係にあるパートタイム従業員など: パートやアルバイト、派遣社員。
業務に従事する者に該当しない者
監査役: 監査役は従事者となることができません。
宅建業以外の業務に専従している人: 他の事業に専従している場合。
まずは宅建業の事務所に業務に従事する者の総数と専任宅建士を何人設置するか把握します。
専任宅建士の要件
専任宅建士は、「常勤性」と「専従性」の二つの要件をどちらも満たす必要があります。
常勤性とは
「常勤性」とは、宅建士と宅建業者との間に雇用契約等の継続的な関係があり、業務時間に当該事務所にフルタイムで業務に従事することを言います。
常勤性が認められない例
パートタイム、アルバイト勤務
在学中の大学生
社会通念上、通勤が不可能な場合
別企業の従業員
公務員
他の法人の代表取締役、常勤役員
専従性
「専従性」とは宅建士が、専ら当該事務所等の宅地建物取引業に従事することです。
契約社員や派遣社員でも宅建業者が当該社員を指揮命令できる関係にあれば専従性を満たします。
行政書士等が宅地建物取引士が宅建業を営む場合: ①同一の建物内で営むこと、②常時勤務すること、③宅建業の営業時間中は宅建業に専任していること、の3つの要件を満たす場合は専従性が認められます。
監査役: 監査役は、宅建業者の取締役、使用人、専任宅建士との兼職ができません。
建設業許可業者が宅建業を兼務している場合で建設業の「経営業務の管理責任者」「専任技術者」: 原則「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」は宅建業で専任宅建士を兼務することができません。ただし、同一法人かつ同一建物で兼業する場合で、専任性が妥当と認められる場合には、専任の宅地建物取引士と兼務を認める場合もあります。同一法人で別の場所での兼務や他の法人の場合は兼務できません。
専任宅建士は、「常勤性」と「専従性」の二つの要件が必要でどちらも満たす場合は個人事業主本人や、法人の代表者、政令使用人、出向でも専任宅建士として認められます。
免許取得後に専任宅建士の数が不足した場合は、2週間以内に補充する等、措置が必要です。
まとめ
宅建業の事務所には「業務に従事する者5人につき1人以上」の割合で、専任宅建士を配置することが必要で、専任宅建士は「常勤性」と「専従性」の要件があります。他に兼業を営んでいる場合、上記の要件を満たすかどうかの確認書類が別途必要になることがあるため、事前確認や専門家に相談することがおすすめです。