大阪の行政書士事務所で勤務していますℳです。
以前に在留資格の「経営・管理」要件が厳格化する方向だとお伝えしましたが、出入国在留管理庁は取得要件を厳格化する改正省令を公布し、来週の10月16日から施行すると明らかにしました。

在留資格「経営・管理」とは
「経営・管理」とは本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動を指します。
日本でビジネスを始めるには「経営・管理」ビザが必要です。一般的に会社を設立してビザを取得するパターンが多いですが、個人事業主としてビジネスを始める場合でも、ビザの取得が必要です。
16日から施行される新たな要件
16日から施行される要件は、申請人が次のいずれにも該当していることが必要です。
一 申請に係る事業を営むための事業所が本邦に存在すること。ただし、当該事業が開始されていない場合にあっては、当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること。
二 申請に係る事業の規模が次のいずれにも該当していること。
イ その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する常勤の職員(法別表第一の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること。
ロ 申請に係る事業の用に供される財産の総額(資本金の額及び出資の総額を含む。)が三千万円以上であること。
三 申請に係る事業の経営を行い、又は当該事業に従事する者(非常勤の者を除く。)のうちいずれかの者が、高度に自立して日本語を理解し、使用することができる水準以上の能力を有している者であって、かつ、申請人が当該事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する時において、本邦に居住することとしているものであること。
四 次のいずれかに該当していること。
イ 経営管理に関する分野又は申請に係る事業の業務に必要な技術又は知識に係る分野において博士の学位、修士の学位又は専門職学位(学位規則(昭和二十八年文部省令第九号)第五条の二に規定する専門職学位をいい、外国において授与されたこれに相当する学位を含む。)を有していること。
ロ 事業の経営又は管理について三年以上の経験(特定活動の在留資格(法第七条第一項第二号の告示で定める活動のうち本邦において貿易その他の事業の経営を開始するために必要な事業所の確保その他の準備行為を行う活動を含む活動を指定されたものに限る。)をもって本邦に在留していた期間がある場合には、当該期間を含む。)を有していること。
五 申請人が事業の管理に従事しようとする場合は、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること
改正の主なポイント
| 現行要件 | 新要件 | |
| 資本金 | 500万円 | 3,000万円 |
| 常勤職員 | 2名以上(上記を満たす場合不要) | 1名以上 |
| 申請者または常勤職員の日本語能力 | 不要 | 「日本語教育の参照枠」におけるB2相当以上の日本語能力が必要 |
| 経営分野の博士・修士の学位または3年以上の経験 | どちらも不要 | どちらか必要 |
| 事業計画書の写し | 専門家の評価は不要 | 経営・管理に関する専門的な知識を有する者による評価が必要 |
| 事業所 | 要件を満たせば自宅でも可能 | 原則自宅不可 |
これまでは「資本金500万円」または「常勤職員2名雇用」のいずれかを満たせばよかったのに対し、
改正後は「資本金3,000万円」かつ「常勤職員1名以上の雇用」が両方とも必須となります。
常勤職員とは、日本人以外に、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者のビザを持つ人が対象です。
また新たに、以下の要件が追加されています。
申請者または常勤職員のいずれかに一定レベルの日本語能力が必須
日本語能力とは、「日本語教育の参照枠」におけるB2相当以上を指します。
日本人又は特別永住者の方以外については、以下のいずれかに該当することが必要です。
日本語能力試験(JLPT)N2以上の認定を受けていること
BJTビジネス日本語能力テストにおいて400点以上取得していること
中長期在留者として20年以上我が国に在留していること
日本の大学等高等教育機関を卒業していること
日本の義務教育を修了し高等学校を卒業していること
3年以上の経営・管理の経験、または 関連する修士号以上の学位
学位においては、外国において授与された相当するものを含みます。
事業経験においては、在留資格「特定活動」に基づく、起業準備活動の期間を含みます。
専門家による事業計画の評価・確認が必須
事業計画書については計画に具体性、合理性が認められ、かつ、実現可能なものであるかを評価が必要です。専門家とは、中小企業診断士・公認会計士・税理士を指します。
原則自宅を営業所として使用不可
現行では居住スペースと独立している、事業用として家主の許可を得ているなどの要件を満たせば自宅を営業所として使用することは認められていました。
改正後の規模等に応じた経営活動を行うためのには、自宅を事業所と兼ねることは、今後は原則として認められません。
まとめ
在留資格「経営・管理」の要件について解説していきました。新省令は16日に施行されます。要件変更に伴い、書類が増えるため申請には入念な準備が必要です。また、すでに在留資格「経営・管理」で在留している人は施行後3年間の猶予期間がありますが、その期間に資本金の増資や従業員の雇用などの準備が必要です。

